人類学演習・談話会

足部疾患の形態的リスクファクターを探る

荻原 直道 先生(人類進化生体力学研究室)

2024年01月19日(金)    16:50-18:35  理学部2号館201号室   

足部運動器系の疾患は、患者が病院を訪れる時点で症状がそれなりに進行していることが多く、その発症要因や、病態の進行メカニズムは必ずしも十分に明らかにされていない。このためその効果的予防・早期介入法の確立が進んでいないのが実情である。運動器疾患は、遺伝的・環境的要因が様々に複雑に関連して発症すると考えられているが、基本的には骨・軟骨に先天的・もしくは後天的に形態的変化が起こり、その結果として骨や関節の力学環境が変化することが、その主因の一つであると考えられる。とすれば、疼痛など臨床的な症状が出現する前から、患者群には共通する先天的もしくは後天的な骨の形態的特徴が存在し、その結果引き起こされる骨・関節の力作用や運動の変化がさらなる骨・軟骨の変形をもたらし、疾患の発症を惹起している可能性が示唆される。本稿では、特に変形性足関節症と外反母趾を対象として、足部疾患の形態的リスクファクターを抽出しようとする試みについて紹介する。

<今後の予定> 
1月 26日 水野 文月 先生(黒崎) ※今年度最終