人類学演習・談話会

メダカ視点に立ち人類進化を理解する

勝村 啓史 先生(北里大学医学部)

2023年12月15日(金)    16:50-18:35  理学部2号館201号室   

地球上のあらゆる環境に拡散した私達ヒトは,地域集団を形成し様々な形質に違いを示す.近年のゲノム多様性解析により,ヒト地域集団間の形質の違いに関わる遺伝子多型が多数報告されているが,多型間の機能の違いや進化的意義の理解は未だ十分であるとは言えない.そこで私たちはヒトと同様に豊富な地域集団が存在し,それらが利用可能なメダカ(Oryzias latipes)をモデルとして,地域集団間でみられる表現型の違いに関わる遺伝子多型の機能やその進化プロセスを推定する研究を進めている.これまでに,メダカ集団にはヒト集団でみられる遺伝的多型が存在することや,太平洋側に広く生息するメダカはヒト集団史と同様に単一起源を示すことなどを明らかにし,ヒト地域集団のアナロジーとしてのメダカ地域集団を提案してきた.本談話会では,日本列島由来のメダカ地域集団を用いた本研究アプローチと,ヒトの拡散をドライブしたとする「冒険遺伝子」や「可塑性」に関する研究成果を紹介するとともに,ヒトの拡散が(間接的に)メダカそのものの生息域を拡げた可能性についても紹介したい.

<今後の予定> 
12月 22日 五月女 康作 先生(大橋) ※年内最終
1月  5日 休講
   12日 大学共通テストのため休講
   19日 天野 英輝 先生(荻原)
   26日 水野 文月 先生(黒崎) ※今年度最終