第1004回生物科学セミナー

生殖特異的なイネArgonaute蛋白質は遺伝子間領域由来のsiRNAと結合する

野々村 賢一 准教授(国立遺伝学研究所)

2014年11月19日(水)    16:40-18:10  理学部2号館 講堂   

生殖細胞は、次世代に完全な遺伝情報を伝達するとともに、減数分裂組換えにより新たな遺伝子組み合わせを創出する役割を担う。イネのArgonaute蛋白質MEL1は、減数分裂前の雌雄生殖細胞で特異的に発現し、減数分裂の正常な進行に必須である。MEL1-associating small interfering RNA (masiRNA) を解読したところ、多くはイネゲノムの1000カ所以上の遺伝子間領域に由来した。masiRNA/MEL1複合体の標的配列は現時点で不明だが、トランスポゾンが主な標的では無い可能性が示された。mel1突然変異体の表現型解析、およびMEL1蛋白質の細胞内局在性解析と併せて、イネMEL1の機能解析の現状を紹介したい。

参考文献
Komiya et al. (2014) Plant J. 78: 385-397.