岩崎研公開ラボセミナー

一細胞解析技術と数理モデルを使って細菌の飢餓生存メカニズムを解き明かす

高野 壮太朗 博士(産業技術総合研究所 生物プロセス研究部門)

2020年07月17日(金)    13:00-  Zoomによるweb講義   

生物の集団中には、他の多くの個体が生き残れない致死的な環境変化を生き抜く個体が少数出現することが知られている。同一の遺伝情報から成るクローン細菌集団においても、こうした細胞が一定数出現し、抗生物質や栄養飢餓といった種々のストレスへの適応を促す例が数多く報告されている。
演者らは、モデル微生物の一つである大腸菌を使って、致死的な飢餓環境で生存を続ける少数の細胞の生存メカニズムの解明を進めてきた。飢餓環境での生存には、細胞に内在する生理状態のゆらぎや細胞間相互作用が深く関わっていることが示唆されていたが、それらの影響を定量的に解析した研究例はこれまで皆無であった。
本セミナーでは、time-lapse顕微鏡や画像解析技術を使って、細胞ごとの増殖や応答性の違いを一細胞レベルで解析した研究結果について紹介する。また、長期間の安定した生存に対して、細胞間相互作用(死細胞をリサイクルする活動)が果たす役割を、数理モデルを使いながら実験的・理論的に解析した研究についても合わせて紹介したい。

*本セミナーはZoomで行います。
 参加希望の方は、担当研究室の者までご連絡ください(学内限定)。
担当:東京大学大学院理学系研究科・生物科学専攻・岩崎研究室