岩崎研公開ラボセミナー

好熱性水素生成一酸化炭素資化菌の分離、ゲノム解析及び分子生態学的研究

大前 公保 氏(京都大学大学院農学研究科博士課程)

2019年11月05日(火)    13:00-  理学部3号館 310号室   

 水素生成一酸化炭素 (CO) 資化菌は CO 脱水素酵素 (CODH) と呼吸型ヒドロゲナーゼ (ECH) の複合体を有し、CO 酸化と水素生成を共役させてエネルギーを保存する微生物です。本菌は環境で有毒な CO を除去し水素エネルギーに変換する生態学的重要性が指摘されています。しかし、記載された水素生成 CO 資化菌は陸上温泉を中心に 21 種と限られ、CO 酸化-水素生成共役系と異なる CO を用いた代謝様式や、多様性・分布といった生態に関する知見が乏しいままです。私たちはこれまで数多くの水素生成 CO 資化菌の分離に成功してきた他、約 14 万の全原核生物ゲノムから CODH/ECH 保有株を同定し、水素生成 CO 資化菌のデータベースを構築しました。本セミナーでは、新規水素生成 CO 資化菌のゲノム解析から明らかになった新規 CO 代謝機構と、本菌の生態解明に向けた分子生態の基盤構築の成果についてご紹介いたします。また、昨年分離に成功したユニークな新規水素生成 CO 資化菌に関する研究についてもご紹介いたします。