人類学演習Ⅳ/人類学セミナー4
ケニアトゥルカナ地方の人類進化研究
内田 亮子 先生(早稲田大学 国際学術院 国際教養学部)
2019年09月27日(金) 16:50-18:35 理学部2号館 201号室
トゥルカナ地方は1960年代以降人類進化研究の主要拠点の一つであり、多数の
重要な化石が発見されてきた。Turkana Basin Institute(TBI) はリチャード・リー
キー氏と米Stony Brook大学によって設立され2016年に施設が完成した。TBIを拠
点として、古生物・地質・進化人類・考古学の調査研究だけではなく、フィール
ドスクールなどの教育やアウトリーチ活動がこの地域一帯で精力的に行われてい
る。トゥルカナ湖西部で発見され2017年に発表された約1300万年前の
Nyanzapithecus alesiは希少な幼児の頭骨である。中新世(約2300-500万年前)
の類人猿はアフリカ内外で多様な種が確認されているが、それらの生態や現生類
人猿との系統については未だ多くが謎のままなので、トゥルカナ地方でのさらな
る調査が期待される。なお、ケニアでは携帯電話の普及がめざましく、また
2012年にトゥルカナ北西部で原油採掘が始まったことで、伝統的な生活をしてい
た遊牧民にさまざまな変化が急激に起こっている。人間行動の文化的変容を研究
するにも格好の地域といえる。本談話会では、2018年夏に参加したTBI調査につい
て報告し、トゥルカナ地方での人類進化研究について話題提供する。
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<今後の予定>
10月 4日 和久 大介 先生
11日 人類学会大会のため休講
18日 覚張 隆史 先生
25日 未定