第1212回生物科学セミナー

RNA分解酵素Regnase-1の免疫制御における役割とその分子機構

竹内理 教授(京都大学ウイルス・再生医科学研究所感染防御分野)

2018年04月13日(Fri)    14:00-15:00  理学部3号館 326号室   

免疫細胞は、病原体感染に対し、サイトカインを始めとした免疫応答に関連した遺伝子発現をダイナミックに誘導し、病原体排除応答を惹起する。免疫応答に関わる分子をコードするmRNA量は免疫応答の過程で緻密に制御され、過剰な免疫細胞の活性化や炎症性疾患の発症を防いでいる。Regnase-1は、免疫細胞に高発現し、免疫応答制御に関わるRNA結合蛋白質の1つである。Regnase-1は、RNA分解酵素領域およびCCCH型Zinc Finger領域を有し、インターロイキン-6 (IL-6)を始めとした免疫応答に関連した分子をコードするmRNAをエンドヌクレアーゼとして分解することで免疫の過剰な活性化を抑制し、免疫系の恒常性維持に重要な役割を果たしている。Regnase-1はmRNAの3’非翻訳領域(UTR)に存在する特徴的なStem-loop構造を認識する。これまで哺乳類で知られるCCR4-NOT複合体を介したmRNA分解系とは異なり、Regnase-1によるmRNA分解は、タンパク質翻訳終結に依存し、ヘリカーゼタンパク質UPF1との結合を必要とすることが明らかとなった。この機構は、mRNA品質管理システムであるNonsense-mediated mRNA decay (NMD)と類似したものである。また、Regnase-1により認識されるStem-loop構造は、異なるRNA結合タンパク質であるRoquinにも結合し、制御をうける共通のシスエレメントであることが明らかとなりつつある。本セミナーでは、Regnase-1がStem-loop構造を介して翻訳に依存した分解を開始する分子基盤も含め議論したい。