人類学演習/人類学セミナーⅢ・Ⅳ(人類学談話会)

感覚系遺伝子の進化生態遺伝学から21世紀の実証的人類進化学へ

河村 正二先生(東京大学大学院新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻)

2017年05月19日(金)    16:50-18:35  理学部2号館 402号室   

視覚をはじめとする感覚系遺伝子の進化多様性の研究は、近年の機能解析系の発展を背景として実証的進化研究モデルとしてたいへん優れている。私の研究室では分子生物学、集団遺伝学、行動生態学にまたがる学際的アプローチによって、ヒト色覚多様性の起源とその進化学的成因の探究、新世界ザルをモデルとした霊長類3色型色覚の進化学的研究、魚類をモデルとした色覚進化の適応的柔軟性の検討、霊長類におけるケミカルセンスと視覚の共進化の検証といった研究プロジェクトを推進してきた。今後はさらなる実証的進化学の進展を目指して、感覚系遺伝子から、genome、epigenome、transcriptomeといったbig dataに視野を拡大し、ゲノム編集や幹細胞をツールとした、新たな進化学、人類学への展開を企図している。それらについても簡単に紹介したい。