岩崎研公開ラボセミナー

染色体上からリボソームRNA遺伝子の消えた細菌の発見

按田 瑞恵 博士(大阪大学微生物病研究所)

2016年04月07日(木)    10:00-12:00  理学部3号館 310号室   

リボソームRNAは、地球上で最初の生物が誕生して以来、全ての生物のタンパク質合成を直接担う生命の根幹をなす成分です。そのような必須成分の遺伝子は、安定に維持される染色体によって子孫に伝えられるものと信じられてきました。実際、既知の細菌ゲノムにおいて、リボソームRNA遺伝子(rrn)は最大のレプリコンである染色体に存在し、染色体マーカーとして使用されてきた歴史があります。
 演者らは、ダイズ地上部の細菌叢解析から始まった研究過程で、rrnの存在しない主染色体(rrn-lacking chromosome, RLC)とrrnが存在するプラスミド(rrn-plasmid)から成る新規のゲノム構造を持つ細菌群Aureimonas ureilyticaを発見しました(Anda M. et al., Proc Natl Acad Sci USA, 112, 14343-14347 (2015))。本セミナーでは、その特徴や系統分布を紹介し、本ゲノム構造の誕生した進化過程について考察します。さらに、研究生活の様子や論文発表までにいたるストーリーなども交えて話す予定です。