第1095回生物科学セミナー

医学・医療ビッグデータによるマルチオミックス解析

角田 達彦 教授(東京医科歯科大学 難治疾患研究所 医科学数理分野)

2016年05月11日(水)    17:00-18:30  理学部 3号館 412号室   

私たちは世界のゲノムワイド関連解析をリードし、生活習慣病やがんに関わる遺伝子を同定してきました。さらに、次世代シークエンサーの進展のおかげで、日本人の全ゲノムや、がんの全ゲノム・オミックスの大規模解読ができるようになりました。特に現在、私たちは、国際がんゲノムコンソーシアムの一環として、肝がんの全ゲノム・マルチオミックスデータの解読と解析を行っています。そうした中、ゲノム・オミックス解析技術の開発、ドライバー遺伝子の同定と治療法策定、臨床情報や分子データベースに基づく高度な解析、そしてトランスオミックス解析には、新たな医科学の数理が必要であると痛感しています。本講演では、個別化医療、薬剤適用拡大、創薬シーズ、先制医療の実現へ向かう、これからの医学・医療のパラダイムについて議論したいと思います。