公開ラボセミナー

海洋動物の行動・生態の解明―バイオロギング手法による最新の成果

安達 大輝 博士(国立極地研究所)

2015年10月23日(金)    16:00-17:30  理学部3号館310号室   

海の中で動物たちはどのように行動しているのか。彼らが海生生物で私達が陸上生物である限り、私達は自然界での彼らの行動を逐一自らの目で追いかけることはできません。では、何か別の形で彼らの行動を追うことはできないのか―この答えの一つがバイオロギング(Bio-logging)という手法です。動物に小型記録計を装着し、彼ら自身に自らのデータを取得してきてもらう。得られるデータは潜水深度、水温、体の動き(e.g. 加速度)など多岐に渡ります。
 本発表では、バイオロギング手法について簡単にレビューしつつ、海棲哺乳類、及び潜水性海鳥(ペンギン等)において私達が明らかにした最新の成果をご紹介します。具体的には、主に、私の研究対象種であるゾウアザラシ類を例にとって、海洋動物の(1)遊泳・採餌行動と浮力との関係、(2)再構築した三次元遊泳軌跡から明らかにされた採餌行動特性、についてご紹介します。また、海洋動物の目線を小型ビデオカメラによって再現、その動画を深度・加速度データ等と併せて解析することで得られた最新の知見についてもご紹介致します。