2021/09/04

トマトの葉の形態の多様化の過程を明らかに

図1. 葉形の異なるトマト2品種の葉. Bar = 2 cm.

生物は多様な形態を示し、その中でも作物や家畜は、栽培化および家畜化、そしてその後の育種の過程で自然界では見られないような特殊な形態を示すことがあります。しかしながら、その過程で、どの遺伝子に、どのような変化が起きてそのような形態になったのかについては、依然として多くが不明のままです。

当研究室の中山北斗助教、University of California, DavisのNeelima Sinha教授らの国際共同研究チームは、特定の地域のみで栽培され、特徴的な葉の形態を示すトマト(Solanum lycopersicum)の品種に着目し(図1)、その栽培の過程で、二つの異なるHOMEOBOX遺伝子に変化が起きたことで特徴的な葉の形態が生じたことを明らかにしました。

本研究により、作物の栽培の過程において、どの遺伝子に、どのような変化が起きたことで形態の多様化に繋がったのかが明らかになったとともに、今後、作物や観賞用の植物を用いた形態の改良に応用することが可能な知見が得られたと言えます。

この成果は、9月2日に「Current Biology」(online)に掲載されました。本研究は文部科学省科学研究費補助金、日本学術振興会科学研究費、NSF(米国科学財団)の支援を受けて行われました。

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Hokuto Nakayama, Steven D Rowland, Zizhang Cheng, Kristina Zumstein, Julie Kang, Yohei Kondo, Neelima R Sinha, Leaf form diversification in an ornamental heirloom tomato results from alterations in two different HOMEOBOX genes, Current Biology, 2021, DOI: 10.1016/j.cub.2021.08.023