人類学とは

自然人類学の世界へようこそ!

ヒトは、大きな脳を持ち、二足で歩き、言語で互いに意思疎通を行い、自らの生息環境を脅かすまでに文明を発達させた、極めて特異な生物です。「人類学」とは、このヒトという特異な生物が、なぜ、どのように誕生し、どのような生物学的特徴を持った存在であるのかを、科学的に明らかにしようとする学問です。ただし、ヒトは「文化」を持っている点でほかの動物と本質的に異なっています。このため現在の人類学は、便宜上ヒトの生物的特質を研究対象する「自然人類学」と、文化的特質を研究対象とする「文化人類学」に分かれています。しかし、当然のことながら本来不可分であり、文理の枠を超えてヒトの本質を明らかにしようとする学際領域学問なのが「人類学」です。そしてこの学際性が、学問としての人類学の大きな魅力の一つとなっています。

東京大学理学部生物学科(大学院理学系研究科生物科学専攻)には、「自然人類学」の教育・研究を推進する、5つの研究室が設置されており、ヒトの生物学的特性、起源・進化、変異、適応に関する研究と教育をおこなっています。具体的には、遺伝学、分子生物学、形態学、生体力学、生理学、生態学、行動学、心理学などを基礎として、ヒトがなぜ今の我々のような生物として存在するに至ったのかを、科学的に明らかにしようとする研究を推進しています。

ヒトの生物としてのメカニズムを科学的に理解し、それがどのような背景から進化したのかを明らかにすることは、我々自身を知るとても面白い営みであるばかりでなく、ヒトの健康や社会に関連する諸問題に対応するための科学的基盤を与える重要な役割を担っています。

また、人類学的にヒトの本質を理解することは、全人類の行く末を考え、地球規模で様々な問題に対処するための教養基盤としても極めて大きな意義を持つと考えています。

ヒトの生物学特性やその進化に興味がある、という方はぜひ気軽に各研究室の教員にコンタクトをとってみてください。歓迎します!

東京大学理学部生物学科
(大学院理学系研究科生物科学専攻)
人類学系教員一同