2008福岡大会
日本生態学会第55回大会(ESJ55)  2008年 植物生理生態学の企画集会
企画者:☆小口理一☆齋藤隆実☆谷友和☆宮沢良行☆鍋嶋絵里


根がからむ水と栄養塩吸収の生理生態

〜地上部と地下部のネットワークのために〜

2008年3月14日 16:15-18:15
福岡国際会議場にて



コメンテーター   石田厚(森林総研)・ 小山里奈(京大・院・情報)

「土壌水分が潤沢な水田でもイネの葉は水不足になることがある。・・・ (村井麻里氏の要旨参照)」



概要

植物体の地下部は、地上部に水分と養分を供給し個体を支持する重要な役割を持つ。 水分供給は、気孔の開閉を介した光合成生産速度への影響、細胞の膨圧を介した成長への影響等様々な面で地上部に影響する。 栄養塩供給は、窒素やリンを中心として、地上部および個体全体の生産・成長速度をしばしば律速する。

また、光合成活性の変化など、環境の変化に対する地上部の応答は水分や養分の需要変化をもたらすため、 これに合わせた地下部の応答が求められるはずである。 このように植物個体の地上部と地下部には相互に密接な結びつきがある一方で、 地上部と地下部を結びつける研究は進んでいないのが現状だと言える。

これを進めるためには、根のどのような生理的・形態的性質が水や栄養塩の吸収能力を決定するのか、 水や栄養塩の吸収にかかるコストはどのようなものなのか、 菌根菌・根粒菌等の土壌生物との関係がこれらにどのように影響するのかを知る必要がある。

近年これらのアプローチにおいて、 地上部と地下部の生理的な結び付きに示唆を与える重要な結果がいくつか発表されている。 本集会では、その中から4人の方々にお集まり頂き、根の水分と養分の吸収機能に関連した最新の研究を紹介して頂くとともに、 地上部の研究者がどのように地下部の影響を考慮しなくてはならないか議論して行きたいと考える。



Last update: 5th February 2008
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