東京大学グローバルCOE 生体シグナルを基盤とする統合生命学
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USCF Tetrad Retreat 2010 参加報告書

分子細胞生物学研究所 情報伝達研究分野 壷井將史

この度、東京大学グローバルCOE国際交流プログラムの助成により、UCSF tetrad program及び、UCSFの研究室訪問の機会を頂きました。その内容を報告致します。

Tetrad retreatはサンフランシスコから車で3時間程度の距離にあるLake Tahoeのほとり、Granlibakken Resortにおいて2泊3日の日程で行われました。リゾート地ということで、森が深く、空気が澄み、夜は星が綺麗に見える自然豊かな場所でした。リトリートでは、各研究室のPI及び学生による口頭発表、及びポスター発表が行われました。Tetrad retreatはCell Biology, Biochemistry, Developmental Biology, Geneticsの4つの研究領域からなる複合プログラムで、発表内容は多岐に渡るものでした。学生のリクルートという目的もあってか、ウィットに富んだ非常に面白い発表が多かったのが印象的でした。今回のリトリートは、蛋白質の結晶構造解析を専門にしている研究室の発表が多く、発表を行う研究室は年度によって多少変動しているようでした。2日目の夜にはtetrad programの上級生による新入生のための歓迎パーティーが開かれ、上級生が作製したskitの上映や簡単なゲームを行う企画が催されました。このskitやゲームには、UCSFのPIも参加しており、PIと学生との距離の近さを感じることが出来ました。

リトリートの前後には、UCSFおよびUCSDのいくつかの研究室を訪問させて頂きました。UCSFではホストラボを引き受けて下さったDr. Arnold Kriegsteinを初め、Dr. Barbara Panning、Dr. Daniel A. Lim、Dr. Maria Barna、Dr. Stavros Lomvardas、Dr. Yuh Nung Janの研究室を、UCSDではDr. Samuel Pfaff、Dr. Dennis O'Learyの研究室を訪問させて頂き、ラボのPIやポスドク、学生たちとディスカッションを行い、研究施設の見学を行わせて頂きました。今回ディスカッションさせて頂いたPIの方々は、それぞれの分野で大きな業績を挙げられている方々ばかりだったので、自分の研究成果を見て頂きどのようなコメントをして頂けるか非常に楽しみでした。私が訪問したどの研究室のPIの方々も、忙しい中ディスカッションの時間を調整して下さり、非常に的確な指摘を頂きました。中には、最新の研究成果を惜しげもなく見せて下さるPIの方々もいて、大変有意義で刺激的な時間を過ごさせて頂きました。

それぞれの研究室を訪問して感じたのは、日本の研究室と比較して研究室間の垣根が低く研究室間の交流が多い事です。どの施設も1フロアに3~4研究室あるのは日本と変わりませんが、研究室間を隔てる壁はなく実験ベンチが直接繋がっている所がほとんどでした。特に、ホストラボを引き受けて下さったKriegstein研究室の所属する施設 (Dolby Building)は2011年2月に竣工したばかりの建物で、広大なフロアが階段状に並べられているような非常にユニークな構造になっていました。この施設内に125もの研究室が入り、再生医療、幹細胞研究のトップを走る研究者たちがフロアの共有は元より最新機器やお互いの技術、知識を共有しながら研究を進めているようでした。また、UCSFのMission Bay campusでは幸いにも日本人ポスドクの方に施設内の案内をして頂ける機会を得られました。Mission Bay campusでは、共通機器として使用出来る機器が非常に充実しており、予約さえ取れば次世代シーケンサーでさえ自由に使用できる環境になっていました。また、campus内には企業からの寄付金によって建設されている建物がいくつかあり、産学連携活動の活発さが窺えました。

今回のリトリートは、アメリカでも最先端の研究や研究施設を直接肌で感じる事が出来、日本との研究への取り組み方や研究施設の違いを考えさせられました。また、様々な研究分野の第一線で御活躍されているPIの方々や学生たちとのディスカッションは、今後研究を進めて行く上で大きな刺激となりました。最後になりましたが、このような機会を与えて下さった多羽田先生、派遣を推挙下さいました後藤先生をはじめとするGCOEプログラムの関係者の皆様と、UCSFでお世話になった方々、特に受け入れを快諾して下さったArnold Kriegstein教授と研究室の皆様に深く感謝致します。