くまむしってどんな動物?

 クマムシ類は体長がおおむね1mm未満の微小な動物で、4対の脚を持ちます。通常の市街地のほか、深海、高山、極地まで幅広く生息しています。ゆっくり歩くことから緩歩動物と呼ばれ、分類上独自のグループを形成しています。近縁な動物群としては、節足動物(昆虫やエビ・カニなど)や有爪動物(カギムシ)があげられます。

カラカラに乾いてもヘイキ?最強動物?

 陸生クマムシの多くは乾燥耐性を持ち、周囲が乾燥すると脱水して縮まり乾眠と言われる状態になります。この状態では水含量は数%にまで低下しており、生命活動は見られません。驚いたことに死んだわけではなく、水を与えると速やかに活動状態に復帰します。乾眠状態のクマムシは様々な極限的な環境に曝露した後も、給水により生命活動を再開することから、マスメディア等では最強動物などと言われることもあります。これは、他の動物が耐えられないような厳しい環境でも生き残る事ができるという意味で最強の部類に入るということで、他の動物と戦って勝てるということではありません。また、こうした耐性はすべてのクマムシが持つわけではありません。
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クマムシはどうしてそんなに耐性が強いの?

 クマムシの示す耐性能力は、生息環境から考えると明らかに過剰であり、生き残るために必要だったとは考えられません。こうした過剰な耐性能力は、頻繁に乾燥する環境に住み、乾燥耐性を持つクマムシで観察されます。乾燥に耐えるために獲得した様々な保護や修復のしくみが、副産物として過剰な耐性能力を生んだのかもしれません。
 乾燥耐性の仕組みとしては、昔からトレハロースという糖がたくさん蓄積して乾燥から保護しているのだと考えられてきました。しかしながら、クマムシではトレハロースを顕著に蓄積しない種が多く、このような耐性を示すメカニズムについては良く分かっていないというのが現状です。(クマムシ以外では乾燥時にトレハロースを大量に蓄積する生物種も知られています。)