研究内容

5.硬骨魚類の体色変化 (材料:ヒラメ,ゼブラフィッシュ)

硬骨魚類の体色変化は,体表の色素顆粒の凝集,拡散により起こり,ホルモンと神経の二重支配を受けている.特にヒラメは,背景に合わせて体色を巧みに変えることができる(図5-1).しかし,これまで体色変化がどのような仕組みで起こるのかについて定量的研究は行われていなかった.当研究室では,さまざまな問題点を克服し,体色変化の定量的解析に成功した.さらに,最近ゼブラフィッシュの黒色素胞でヒラメに似た反応を見いだした(図5-2).

実験水槽で背景を定期的に入れ替えて飼育したゼブラフィッシュを用いて, 顕微鏡下で体表の色素胞の反応をビデオまたは写真で記録し, コンピュータを使って定量的解析を行った. その結果,背景変化による学習の結果, 体色変化は増強されることが明らかとなった(Hatamoto and Shingyoji, 2008). さらに,顆粒の凝集と拡散を担う3種類のモータータンパク質(ダイニンとキネシン,ミオシンV)の役割の理解を目指し, 黒色素胞の活性制御における顆粒運動の解析を進めている.

図5-1. ヒラメの体色変化

図5-1. ヒラメの体色変化

図5-2. ゼブラフィッシュの体色変化と黒色素胞(拡散状態)

図5-2. ゼブラフィッシュの体色変化と黒色素胞
(拡散状態)