植物の葉の気孔は、ガス交換のためのバルブである。気孔開度は、葉内のCO2濃度(Ci)の決定に関わる、葉の光合成における最も重要なパラメーターのひとつである。気孔開度と環境条件の関係を調べたこれまでの研究から、CO2濃度、水分条件、光が、気孔開度を制御するもっとも重要な要因であることが指摘されている。


多くの草本植物の葉では気孔は両面にある。一方、光はおもに葉の向軸側(表側)に当たる。光の大部分(特にクロロフィルに吸収されやすい青色光や赤色光)は葉肉組織で吸収されるため、背軸側(裏側)の表皮に到達する光はかなり弱められ、光質も向軸側と異なる。先行研究では、背軸側の気孔の方が向軸側の気孔よりも光感受性が高いと報告されている(Pemadasa, et al. 1979, 1982; Goh, et al. 2002; Yera, et al. 1986; Turner, et al. 1969, 1984) 。この違いは、向軸側と背軸側では当たる光の質・量が違うことが原因だと考えられる。しかし、多くの先行研究は剥離表皮や孔辺細胞のプロトプラストを用いたものであり、葉そのものを用いた研究例は少ない。また、葉を用いた研究でも、葉内CO2を制御した例がなかった。したがって、両面気孔の光の応答に関するこれまでのデータが他の要因の影響とは独立に得られているとは言えない。
本研究では無傷葉の光合成速度と気孔コンダクタンスを向、背軸側別々に同時に測定できる光合成測定システムを構築して、光以外の環境要因であるCiや空気湿度を一定にして、一定の栽培条件で育てたヒマワリの成熟葉の向、背軸側の気孔の光応答を調べ、生態生理学的視点から、気孔の光応答のメカニズムを考察することである。
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