軟体動物を用いた神経可塑性研究

松尾 亮太先生(福岡女子大学)

軟体動物腹足類であるアメフラシは、中枢神経系における個々のニューロンが巨大であり、また摘出した脳やニューロンが長期間培養が可能である、などといった特性を利用して、古くより記憶・学習といった神経可塑性の分子、細胞機構を研究するための材料として利用されてきた。また、ナメクジやモノアラガイなど他の腹足類の動物も、それぞれ独自の学習能力を有することを利用して、神経科学の研究に供されてきた。本講演では、前半でアメフラシにおける「慣れ」、「感作」、「連合学習」の分子機構について紹介し、これらの行動変容が分子・神経レベルでどのように説明されるかについて解説する。後半では、身近な動物であるナメクジを用いた学習行動実験や神経再生機構などに関する研究について、最新の知見と併せて紹介する。また高校において、実際にナメクジを用いて行われている実習の例などについても紹介する。




松尾亮太先生のご略歴


福岡女子大学国際文理学部環境科学科 准教授

■専門:分子神経生物学

■略歴

平成7年 京都大学理学部卒業

平成12年 東京大学大学院理学系研究科(生物化学専攻)修了、博士(理学)

平成12年 三菱化学生命科学研究所 特別研究員

平成13年 東京大学大学院薬学系研究科 助手

平成17年 徳島文理大学香川薬学部 講師

平成24年 同 准教授

平成25年 福岡女子大学国際文理学部 准教授


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