これまでの発生遺伝学的解析の結果、世界に先駆け、シロイヌナズナよりROT3AN、AS2、BOP1/2、ROT4AN3遺伝子等、葉形態形成の鍵となる遺伝制御過程の同定に成功してきた。その中でも、シロイヌナズナの葉の全形が、縦方向と横方向との二方向独立に制御を受けている、という事実を明らかにした業績は、世界的に高く評価されており、Wolpertの”Principles of Development”といった教科書などにも紹介されている。AN3タンパク質はまた葉原基におけるモルフォゲンのような役目を持つことも示してきた。エコデボ的テーマとしては、強光条件に適応した葉の厚さの制御も分析してきた。しかし、これまでに同定した葉形態を司る鍵遺伝子群の多くは、それぞれ具体的に細胞のどういった挙動を変えることで、葉の形を変えるか、まだ分かっていない。私たちは葉原基における細胞分裂の頻度と角度を迅速に解析する手法の開発を通して、現在、遺伝子機能と細胞の挙動との関連性について解析を進めている。なお本テーマでは、必要に応じてゼニゴケなど他のモデル系も活用している。

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