研究内容

2.恐怖の表出メカニズム

わたしたち動物は恐怖を感じると、 逃げたり(逃避行動)、心臓がドキドキしたり(心拍制御)、またちょっとした物音に極端にびっくりしたり(認知バイアス) といったふうに、様々な応答を協調的にひきおこします。哲学や心理学の分野において、「怖いから逃げるのか、逃げるから怖いのか?」「怖いからドキドキするのか、ドキドキするから怖いのか?」という問題は長年議論されてきました。私達はこれらの本質的な、しかし哲学・心理学的にしか検証されてこなかった問題に対して、神経遺伝学的なアプローチを新たに持ち込むというチャレンジを行っています。これまでに私達は、脅威を察知したショウジョウバエにおいても逃避行動・心拍制御・認知バイアスのすべてがおきることを発見し、上記の問を検証できるショウジョウバエモデルを世界に先駆けて確立することに成功しています。現在はこのモデルを用いて上記の問題に決着をつけるべく、 逃避行動・心拍制御・認知バイアス を担う分子とニューロンの実体や、それぞれを担うニューロンの特徴的な活動パターンを精力的に明らかにしています。

○キーワード○
恐怖の要素説
逃避行動
心拍制御
認知バイアス
哲学・心理学
神経遺伝学
同期発火
バーチャルリアリティ装置
脳のCaイメージング

脅威によるショウジョウバエの感覚応答変化を評価するためのバーチャルリアリティー装置。ショウジョウバエは空気で浮かべたボール状に固定され、自由に歩くことができる。

※Internet Explorer では動画がうまく再生されない場合がございます。その場合はお手数ですが他のブラウザからご覧ください。