東京大学グローバルCOE 生体シグナルを基盤とする統合生命学
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USCF Tetrad Retreat 2010 参加報告書

分子細胞生物学研究所 染色体動態研究分野 山岸有哉

今回UCSF tetrad programのリトリートに参加させていただきましたので報告します。リトリートはタホ湖のほとりのグランリバッケンにおいて2泊3日の日程で行われました。内容は各研究室のPIと学生による口頭発表が主体で、夜には新入生歓迎のためのイベントやパーティー、そしてポスター発表が行われました。私は、リトリートの前日に今回ホストを引き受けていただいたDavid Morgan博士の研究室を訪問し、セミナーをさせていただいて、さらにほぼすべての研究室員の方とお話しすることができました。そのおかげか彼らやその友人がポスターを見に来てくれて、充実したポスター発表の時間を過ごすことができました。彼ら数人とは帰国後もメールのやりとりをしており、同世代の研究者仲間を得ることができたという意味でも貴重な経験になりました。

さて、PIと学生の発表ですが、新入生歓迎を含むリトリートであるとはいえ、発表は自分たちの研究紹介といった表面的なものではなく、最新のデータを含んだとても内容の濃いものでした。普段あまりなじみのない分野でも、わかりやすく話してくれるPIや学生の発表はとても興味深く感じられ、自分の研究をアピールする上でのプレゼンテーションの重要性を改めて感じました。

リトリート終了後は、この機会を利用してニューヨークに向かい、ニューヨーク周辺の研究室を訪問し、それぞれの研究室でセミナーをさせていただきました。はじめに、ニューヨークの州都であるオールバニのAlexey Khodjakov博士の研究室を訪問しました。Khodjakov研には顕微鏡がラボの人員の倍ほどもあり、それぞれ自分たちでカスタマイズして使用しており、非常に驚きました。その後はペンシルバニア大学のMichael Lampson博士、Sloan-Kettering Cancer CenterのSonghai Shi博士の研究室を訪問した後、最後に留学中の先輩にRockefeller大学を案内していただき、野口英世博士の像なども見学しました(野口英世像はRockefeller氏の像と並んで置かれており、威厳たっぷりでした)。

今回訪問した研究室のPIが共通して持っていた考え方は、自分の研究に重要なことを明らかにするために、必要な装置が無いなら作ればいい、技術が無いならそれを持った人に習う、もしくは共同研究すればいい、というものです。皆思い立ったらすぐ実行しているようでした。新しい技術が次々と開発され、専門もますます細分化しつつある現在、このような考え方と行動力は必須であると感じました。

最後になりましたが、この派遣プログラムの中心となって活動されている多羽田先生、ホストを引き受けていただいたUCSFのDavid Morgan博士、旅費等事務手続きをしていただいた朝倉さん、派遣を推薦してくださった渡邊先生をはじめ、GCOEリトリート関係者の方々に深く感謝いたします。