東京大学グローバルCOE 生体シグナルを基盤とする統合生命学
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2009年2月開催UCSF Developmental Biologyリトリート参加報告書

分子細胞生物学研究所 多羽田研究室 杉江淳

はじめに
  2月のサンフランシスコは東京と同じくらいの気温でしたが、この時期は雨期のため雨が降ったり止んだりを繰り返していました。市内は公共の交通網が発達しており、地下鉄・バス・路面電車等により移動に不自由がありませんでした。そして、街並みも綺麗で夜も平気で出歩く事ができ、日本人にとって非常に住みやすい街だという感想を持ちました。それでは、以下にUCSF Developmental Biology リトリート参加等の報告をさせていただきます。

1.リトリート(Marconi Conference Center 2月8日09日)
 サンフランシスコから観光名所にもなっているゴールデンゲートブリッジを越えて、1時間半ほど北上したところでMarconi Conference Centerに到着しました。丘の上にロッジが点々とあり、その中の一つの建物でオーラルセッションが14:30から21:00まで、途中で休憩や夕食を挟みながら行われました。その後12時を超えるまでお酒を片手にフランクな形式でのポスターセッションが行われました。このセッションで発表を行い、最初から最後までみっちりとPI、ポスドク含めて9人とディスカッションをしました。 ポスターが終わってからはそのままパーティーが深夜にまでわたって開かれていました。次の日は、8:30から12:00までオーラルセッションがあり、お昼でお開きとなりました。

 英語で発表するのは今回が初めてだったのですが、練習した研究内容についてはしっかりと伝える事ができたのは収穫でした。ところが、 予期していなかった質問や、長い文章を話されたりするとついていけなくなる事が多々あり、何回も聞き直す場面もありました。また、答える事ができる筈なのにうまい言葉が出てこない事も多く、歯がゆい場面もたくさんありました。もう一つ勉強になったのは一つの結果からの考察の深さです。UCSFの人たちは、考察が深いのでオーラル発表において人々の興味を引くようなストーリーに展開できるのではないだろうか、と思いました。

2.ラボ訪問(UCSF 2月10日011日、Stanford University 2月13日)
 サンフランシスコ市内にUCSFは複数地点にキャンパスがありますが、2日間ともMission Bay Campusに行きました。近代的な建物でありながら木目調を基とした落ち着いた環境でした。そして、共同に使用する機器が多く、近辺とのラボの交流が日本とは比べ物にならないくらい多い事が分かりました。UCSFではKornberg Lab、Jan Lab、Reichardt Labを訪問させていただきました。 その他にはラボメンバーを紹介してもらってディスカッションしたり、建物を案内してもらったりしました。スタンフォード大学は、ものすごく広い敷地で大学自体が一つの街を形成しているかのように、敷地内にはシャトルバスがたくさん走っており、研究機関が充実しているのはもちろんの事ですがキャンパスライフを楽しんでいる学生たちもたくさんいて、大学である事を感じた場所でした。 Stanford UniversityではClandinin Lab、Shen Labを訪問させていただきました。

  複数の著名なPIと1対1でディスカッションさせてもらうという滅多にない機会を与えてもらい、非常に幸せでした。貴重なアドバイスを頂き、自分の研究を論文にするために必要なことも見えてきて、フィードバックするべき事を多く得る事ができました。

3.日本から留学しているポスドク訪問(Stanford University 2月12日)
 スタンフォード大学にいるポスドクの日本人の方5人とお話しさせてもらいました。ここでは、ポスドクのポストを得るところから次の段階のポストを得るまでのお話や、アメリカでの生活の経験談等、将来留学をする際にためになる貴重な情報を頂く事ができました。

まとめ
 今回のアメリカ滞在中でのキーワードは「自分から行動して働きかけなければ道はひらけない」という事です。
引っ込み思案になって待っているだけだと何もしてくれないけど、勇気を振り絞って積極的に行くとけっこう暖かく対応してくれる場面が多かったです。これは、どんな世界でも通ずる事で、今後もこの姿勢を忘れる事なく研究に邁進していきたいと強く感じました。

 最後に、このような素晴らしい機会の提供に尽力してくださった多羽田先生ならびにUCSFのfacultyの方々に深く感謝いたします。