新垣 陽子 Arakaki, Yoko

研究テーマ

群体性ボルボックス目テトラバエナを用いた多細胞化初期段階の進化学的解析

研究内容

 地球上には、とても多様な生物が生活しています。このように多様な生物達は、いくつかの大きなステップを経ており (Michod 2005 Biol. Philos.)、その解明は生命の進化を解明する上で非常に重要です。
(1) 複製能力のある分子(DNA)が合成されて原核生物が誕生した
(2) 原核生物から真核生物が成立した
(3) 単細胞の真核生物から多細胞の個体が進化した 『多細胞化』
(4) 有性生殖が発達した
(5)個体が集まって社会が作られた
私は、『多細胞化』に興味を持って研究を行っています。

 多細胞化は、動物や植物、菌類などの真核生物で独立に25回以上起きたといわれていますが、ほとんどの仲間で単細胞から多細胞への進化的中間段階の生物が現存しません (おそらく絶滅や未発見のためでしょう)。しかし、緑藻の1グループである群体性ボルボックス目では、単細胞のクラミドモナスから細胞分化のおきているボルボックスにいたるまで、細胞の数や分化レベルで中間段階の種が現存するモデル生物群です (図)。
図
 現在は、その中で最も初期に分岐したシアワセモ (学名: Tetrabaena socialis) に注目し、単細胞から多細胞への転換期に起きた進化的イベントの解明を目指しています。

詳細は、以下のプレスリリースをご覧下さい。
世界最小の多細胞生物の発掘 — 4細胞で2億年間ハッピーな生きた化石 "しあわせ藻" — 東京大学大学院理学系研究科

論文(査読有)

Baby Tetrabaena