出芽酵母のストレス分子生理学

上園 幸史



 出芽酵母は古くから醗酵産業で利用されているだけでなく、真核生物の多くの特徴を備えているためモデル生物としても様々な分野で数多くの知見を提供しています。酵母は単細胞生物であるため厳しい環境変化に常に曝されていますが、それに耐えうるいくつもの適応システムを有しています。我々は酵母のタンパク質合成や細胞骨格の挙動に着目して環境ストレスに対する応答機構、ストレス類似作用を示す麻酔薬や抗精神病薬などの作用機構や糖尿病との関係について以下のようなテーマで研究しています。


1.環境ストレスに対する応答機構
2.グルコース飢餓を引き起こす薬剤の作用と毒性の機構
3.両親媒性化合物に対する多剤耐性機構
4.長鎖アルコールのカットオフ機構



これまでの研究

1) 高浸透圧やグルコース飢餓ストレスによる細胞内反応の一過的な阻害機構
2) 環境ストレス類似作用を示す薬剤の構造と作用機構
3) 局所麻酔薬や抗精神病薬によるグルコーストランスポーターの阻害機構