オオルリシジミ(絶滅危惧I類)
シジミチョウ科の中では大型のオオルリシジミは、国内では本州と九州に分布し、かつては青森県を北限として、岩手県(盛岡市周辺、宮古市)、福島県(会津若松市、会津坂下町)、新潟県、長野県、群馬県、大分県(久住高原)、熊本県などに生息していた。しかしながら、近年ではいずれの地域でも絶滅もしくは激減し、現在では、新潟県、長野県のごく限られた地域と熊本県(阿蘇山周辺)にのみ確実な産地が知られている。
この激減の要因としては、生息地が草原や田園、河川の堤防のような環境であることから、耕地整理、河川改修、宅地化等の開発を受けやすいことや農薬散布による影響などが考えられ、これは同様に絶滅に瀕しているオオウラギンヒョウモン、ヒョウモンモドキ、シルビアシジミ、ミヤマシジミのような河川・草原性チョウ類に共通していることである。また本種の食草がクララのみと単食性であること、年一化性であるために種自体の適応能力も弱いことも衰退への拍車をかけたものと思われる。
このような本種について、累代飼育を共同研究者とともに日本で初めて成功させている。この業績は絶滅寸前に追い込まれた本種の地域個体群を回復させる重要な手段の一つとなりうる。また長野県の「北御牧村のオオルリシジミを守る会」には発起段階から協力し、本種の保全活動も推進している。
オオルリシジミの雌雄型(右が雄、左が雌)