なぜ陸上には多様な生物種が存在するのか.この陸上生態系の生物の成り立ちを考える上で最も根源的な問いに答えるために,特に日本列島を舞台に多様化を遂げたと考えられる植物群に着目し,包括的な種間比較解析を行っている.当研究室は,日本で最大規模の野生植物種を植栽保有する国立科学博物館筑波実験植物園にあるため,多くの野生植物種を生きた状態で常時観察,研究できることが強みである.また野外調査で得られた自然史的発見を実験室内での遺伝・化学・形態分析によって深め,再び野外にフィードバックするサイクルを重視している.現在進めている代表的な研究テーマとしては,花の香りの進化による植物の種分化,腐肉・発酵物・キノコに擬態して送粉者を騙す花(擬態花)の進化等が挙げられる.