東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻

Department of Biological Sciences
Graduate School of Science
The University of Tokyo

研究室・教員一覧 濡木研究室

EN

基幹講座/生物化学講座 生物化学科 濡木研究室 構造生命科学

研究室サイト

濡木 理 教授

石谷 隆一郎 特任教授

伊藤 弓弦 准教授

木瀬 孔明 特任准教授

草木迫 司 助教

大村 紗登士 助教

平野 央人 特任助教

田中 達基 特任助教

佐野 文哉 特任助教

研究課題

  1. 1. RNA に制御される遺伝情報の発現
  2. 2. 膜タンパク質による物質輸送や感覚受容
  3. 3. GPCR のシグナル伝達機構の解明と創薬
  4. 4. 超分子複合体の動的構造解析

原子のレベルで解き明かす生命現象の本質

あらゆる生命現象は,タンパク質や核酸,脂質といった生体高分子が互いに形を変えながら相互作用し,さらに分子間相互作用のネットワークを形成することで引き起こされています.当研究室では,「X線結晶構造解析」・「クライオ電子顕微鏡による単粒子解析」と「計算機分子動力学シミュレーション解析」さらにこれら構造情報に基づく「機能解析」を行うことで,生体内の様々な現象の分子機構を,生物学と物理化学の双方の視点から統合的に,原子レベルで解明していくことを目指しています.現在,次の4つの生命現象に着目し,集中的に解析を進めています.1. RNAに制御される遺伝情報の発現(CRISPR-Cas9,RNAサイレンシング,遺伝暗号の翻訳),2. 膜タンパク質による膜を越えた物質輸送や感覚受容,3.GPCRのシグナル伝達機構の解明と創薬,4.超分子複合体の動的構造解析.これまでに私たちは,ゲノム編集ツールとして注目されているCRISPR-Cas9の結晶構造を決定し(左図),そのRNA依存的なDNA切断機構を解明しました.また,ATPの加水分解と共役してリン脂質を輸送するP4-ATPaseの立体構造をクライオ電子顕微鏡による単粒子解析で決定し(右図),輸送サイクルの各段階の構造をつなぎ合わせることでリン脂質の輸送メカニズムを分子動画として解明しました.高等真核細胞で繰り広げられるより複雑な高次生命現象(特にRNAサイレンシングや光・温度・圧力など物理刺激の感覚受容,味覚・嗅覚を含めた五感の感受,がんの転移など)のメカニズムについても研究を進めています.

  • Cas9-ガイド鎖RNA-標的DNA複合体の結晶構造

  • リン脂質輸送体P4-ATPaseの電子顕微鏡構造