人間と他の動物との間にはある種の越えがたい隔たりが感じられる.このようなヒトの特殊性の起源と進化について明らかしたいというのが,当研究室の中心となる研究動機である.具体的には,以下の研究課題について数理モデルや計算機シミュレーションを用いた理論研究を行う.1)人類を含む霊長類の社会行動の進化:ヒトの社会行動の進化を,他の霊長類との比較に基づき,ゲーム理論的モデルを用いて明らかにすることを目指す.2)ホモ・サピエンスの行動生態学:主として狩猟採集民の適応戦略を,民族学的・考古学的知見を参照しながら,行動生態学モデルを用いて分析する.3)文化の伝達と進化:集団遺伝学や疫学のモデルを文化現象に援用することにより発展してきた文化進化理論を,さらに整備・拡張することを目標とする.大学院生は,研究室全体のプロジェクトに貢献するというより,各々が主体となって個別の課題について研究を進めている.それぞれの課題についてはじめての論文を書くことを全面的にバックアップするので,ぜひとも突き詰めたい課題をもって進学してきてほしい.