今から約5.4億年前に始まるカンブリア紀に,左右相称動物のボディプランが一斉に出揃いました.いかにして複雑で多様な動物が成立・分化したのか,当研究室では,この謎に,化石記録解読,ゲノム系統学,発生進化学を統合したアプローチで迫ります.特に,化石としてよく保存され,ボディプランの構成要素としても重要な硬骨格(貝殻)について,近年ゲノム解読を行った軟体動物や腕足動物などを用いて,その形成機構の遺伝的基盤の研究を進めています.また,軟体動物などの貝殻は非常に多様ですが,いずれも「等角らせん」という共通のルールに沿って形成されます.その形成プロセスにおいてシグナル伝達因子BMPや貝殻基質タンパク質の左右非対称的な発現が重要であることを解明してきました.これらの理解を通じて,成長(後期発生)の進化発生学や左右性の進化学を展開していきたいと考えています.