生物科学セミナー
第1522回生物科学セミナー『睡眠中の情報処理』
日時: | 2025年6月25日(水) 16:50-18:35 |
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場所: | 理学部2号館223号室及びZoom |
演者: | 井ノ口馨 卓越教授(演者所属)富山大学学術研究部医学系 |
演題: | 睡眠中の情報処理 |
主催: | |
共催: | |
後援: |
要旨
脳は睡眠中や休息時にも活動しており(アイドリング状態)、アイドリング中にさまざまな情報処理をしていることが明らかになりつつあります。脳がアイドリング中に創造的なアイデアなどが出やすいことなどは昔から良く知られています。例えば、睡眠中に科学的な大発見が為された例として、メンデレーエフの夢による元素の周期律表の発見などがあります。ところが、アイドリング脳に関する研究はそれほど進んでおらず、そのメカニズムや機能には不明な点が多いままです。それらが明らかになれば、脳が持つ潜在的な能力を引き出すことができ、QOLの向上に繋がることが期待されます。 本講演では、アイドリング脳の活動や機能を科学的な根拠(物理化学を基盤とした実験データ)に基づいて理解することを目指す私たちの最近の研究成果をいくつかお話しします。
1.推移的推論 2.記憶の同化 3.サイレントエングラム 4.Engram-to-be cell
これらの研究から、脳は過去の記憶を睡眠中に照合して、将来に備えていることが明らかになってきました。
参考文献
- Nature Communications (2024) 15(1): 4566. https://doi.org/10.1038/s41467-024-48816-x
- Nature Rev Neurosci (2024) doi: 10.1038/s41583-024-00814-0
- Proc Natl Acad Sci USA, 119: (32) (2022) e2201578119.
- Nature Communications, 13: 11 (2022) doi:10.1038/s41467-021-27763-x
- Nature Communications, 10: 2637 (2019) doi:10.1038/s41467-019-10683-2
- Science, 360: 1227-1231 (2018) doi:10.1126/science.aat3810
- Science, 355: 398-403 (2017) doi:10.1126/science.aal2690
- Nature Communications, 7: 12319 (2016)
担当
東京大学大学院理学系研究科・生物科学専攻・睡眠生理学研究室
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