東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻

Department of Biological Sciences
Graduate School of Science
The University of Tokyo

内部情報 第1565回生物科学セミナー『植物のオルガネラ動態と高次機能』

生物科学セミナー

第1565回生物科学セミナー『植物のオルガネラ動態と高次機能』

日時: 2026年10月21日(水) 16:50-18:35
場所: 理学部2号館223号室及びZoom
演者: 植村 知博 教授(お茶の水女子大学)
演題: 植物のオルガネラ動態と高次機能
主催:
共催:
後援:

要旨

トランスゴルジ網(trans-Golgi network ; TGN)は、ゴルジ体のトランス槽の外側に位置し、積荷タンパク質の選別を担うポストゴルジ膜交通の中枢オルガネラである。植物細胞では、ゴルジ体に隣接するGolgi-associated TGN(GA-TGN)と、ゴルジ体から独立して存在するGolgi-independent TGN(GI-TGN)の2種類のTGNが存在することを我々は見出し、植物TGNがゴルジ体とは独立したオルガネラとして機能するという概念を提唱してきた。
多色・超解像・高速ライブイメージングを可能とする超解像ライブイメージング顕微鏡SCLIMを用いてTGN局在タンパク質の動態を解析した結果、GA-TGN上には、分泌輸送を担う「分泌輸送ゾーン」と液胞輸送を担う「液胞輸送ゾーン」という機能的に異なるサブドメインが存在することを明らかにした。さらに、分泌輸送ゾーンの一部がゴルジ体から離れることでGI-TGNが形成されることから、植物TGNがその構造と機能を動的に変化させながら輸送経路を制御する姿が見えてきた。さらに最近、TGN局在SNAREタンパク質SYP4の解析から、TGN機能の異常がアクチン動態の異常を引き起こし、その表現型がCa2+添加によって回復するという予想外の現象を見出した。この結果は、従来考えられてきた「細胞骨格が膜交通を制御する」という関係とは逆に、TGNがCa2+シグナルを介して細胞骨格を制御する可能性を示唆している。本セミナーでは、これらの成果をもとに、植物TGNの構造と機能、さらにTGNと細胞骨格の新たな関係について議論する。
 

担当

東京大学大学院理学系研究科・生物科学専攻・植物生理学研究室
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