東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻

Department of Biological Sciences
Graduate School of Science
The University of Tokyo

内部情報 【7/10】人類学演習・談話会『「染色体学」のすすめ:3D-FISH法による「染色体構築学」の確立』

人類学講座・人類学セミナー

【7/10】人類学演習・談話会『「染色体学」のすすめ:3D-FISH法による「染色体構築学」の確立』

日時: 2026年7月10日(金) 16:50-18:35
場所: 理学部2号館201号室
演者: 田辺 秀之 先生(総合研究大学院大学・統合進化科学研究センタ )
演題: 「染色体学」のすすめ:3D-FISH法による「染色体構築学」の確立
主催:
共催:
後援:

要旨

染色体の数と形、いわゆる核型はその生物種に固有な特徴を有し、ゲノム全体の鳥瞰図であるとともにゲノム解析の根幹をなす情報として重要である。地球上の全生物種は約870万種が存在すると推定されている(国連環境計画)。実際には約125万種ほどがデータ登録・記載されているが、そのうち染色体・核型が判明している生物種は1%にも満たないと言われている。従って、生物多様性研究や生物分類学の一環として、核型解析や全ゲノム解析を手掛ける研究は、ほとんどが未解明であり、ブルーオーシャンと言っても過言ではないだろう。染色体の数と形を明らかにする「染色体学」は、標本作製の過程でプロトコールの記述のみでは伝えられない体得する部分があり、その生物種のサンプリング方法、染色体像を得るための技術的にユニークな手技やノウハウ、新たに改良が加えられたtipsとして確立されてきたものの集大成として成り立っている。本講演では、様々な生物種における染色体の数と形、大きさの多様性の一端を紹介する。

1990年代後半に、ドイツ・ミュンヘン大学のThomas Cremer教授の下へ留学することが契機となり、私自身、染色体を見る感覚が2次元から3次元へと大きく展開する経験をした。2D-FISH法は、分裂中期染色体を観察対象とした2次元での解析法であるが、3D-FISH法は、間期核における3次元での染色体を観察対象としており、染色体テリトリーの核内空間配置や核内高次構造、核内小分子のダイナミクスの解明を目指した、いわゆる「染色体構築学」へと大きく展開した。以後、20年ほど時が流れ、染色体、クロマチン、細胞核の研究の分野は、イメージング科学や生物物理学、数理・理論生物学、生命情報学、ゲノム科学などの周辺分野との融合や化学変化を交えながら、当時からは想像できないほどの目覚ましい発展を遂げている。FISH法に関してもゲノム編集技術を組み合わせた新しい可視化法が開発され、NGS、Hi-C、超解像顕微鏡といった技術的な発展と合わせて、TADsやA-/B-Compartmentなどの新しい概念も登場している。本講演では、多くの共同研究者と実施してきた「染色体構築学」としての研究成果のいくつかを紹介しつつ、T2T解析に代表されるような大規模ゲノム科学の時代における「染色体学」および「染色体構築学」のそれぞれの特性や方向性を踏まえて、両者が相補的に融合し、新しい潮流を生み出す科学分野として発展する兆しを感じ取っていただければ幸いである。

Reference; web site
https://rcies.soken.ac.jp/scientists/scientists_hideyuki_tanabe.html


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<今度の予定>
7月  17日 大橋 順 先生 ※今期最終回
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