第1508回生物科学セミナー

第三の生命ドメイン「アーキア」におけるゲノムの構造化とその機能

竹俣 直道 助教(京都大学 工学研究科 合成・生物化学専攻)

2024年07月17日(水)    15:00-16:30  理学部2号館講堂   

アーキア(古細胞)はバクテリアとは異なる生命ドメインに属する原核生物であり、その多くが熱水噴出孔や塩湖といった極限環境に生息している。メタゲノム情報などに基づく系統解析から、真核生物はアーキアドメイン内から進化してきたことが示唆されている。さらに、一部のアーキアはヌクレオソームやA/Bコンパートメント、TAD(Topologically Associating Domain)といった真核型のゲノム三次元構造を有することが近年明らかになりつつある1-4。我々は、アーキアゲノムの構造化機構が真核生物の進化とどうリンクしているのか、またアーキアゲノムが極限環境で構造的・機能的恒常性をどのように維持しているかを研究している。本セミナーでは、我々が超好熱性アーキアThermococcus kodakarensisをモデルとして研究している(1)アーキアTADの形成機構、(2)リバースジャイレースによる正のDNA超らせん形成を介したゲノム維持機構、(3)ヒストンの機能進化について最新の成果を紹介したい。

参考文献
1.Mattiroli et al., Science 357, 609-612 (2017).
2.Takemata et al., Cell 179, 165-179 (2019).
3.Takemata & Bell, Mol. Cell 81, 473-487 (2021).
4.Yamaura, Takemata et al., bioRxiv, https://doi.org/10.1101/2024.05.14.594075 (2024).

担当: 東京大学大学院理学系研究科・生物科学専攻・遺伝学研究室