第1506回生物科学セミナー
「自己」と「他者」を表象する神経メカニズム
奥山 輝大 准教授(定量生命科学研究所)
2024年06月11日(火) 10:00- Zoomによるweb講義
私たちは日々何気なく、社会の中で生活し、他者と協力しながら生きていますが、この一連の行動の過程には極めて複雑な脳機能を見出すことができます。たとえば、「苦手な相手に近づかない」という行動の時には、感覚情報を基に他者を認識し、海馬に貯蔵されている社会性記憶を想起し、情動回路の活動が活性化された後、忌避行動の神経回路へと情報が伝達されています。今回のセミナーの中では、社会性記憶を貯蔵する「海馬」と、他者に対しての共感性を司る「前野前頭」に注目しながら、自己と他者を表象する神経メカニズムについての私たちの最近の研究成果をお話しします。
参考文献
Chung et al., Nature Communications, in press (2024)
Huang et al., Nature Communications, 14:3458 (2023)
Tao et al., Molecular Psychiatry, 27:2095 (2022)
Okuyama et al., Science, 353:1536 (2016)
担当: 東京大学大学院理学系研究科・生物科学専攻・1分子遺伝学研究室