東京大学理学部 生物化学科
2025年度 進学案内
学科長メッセージ、カリキュラム、
研究室紹介、学生の1日、生化写真館、Q&Aなど
生物化学は、生命現象の普遍的なメカニズムを分子・遺伝子レベルで解明する学問であり、生物学のみならず、物理学や化学の知識を活かした総合的な科学的基盤の上に成り立っています。具体的な研究課題として、ゲノム構造とその複製、細胞内情報伝達、遺伝子の発現・機能、RNAの構造特異性と機能、蛋白質生合成の調節機構、酵素を含む種々の蛋白質の構造と機能、さらには分子進化のメカニズムの解明などが挙げられます。これらは生命現象の本質に迫る基礎研究であり、今後も発展が期待されています。
特に、ゲノム科学の急速な発展に伴い、生物化学は医学との結びつきを強めつつあり、生物情報科学(Bioinformatics)との連携も進んでいます。当学科では、RNA結合タンパク質や膜タンパク質の構造と機能の相関解明、RNAサイレンシングを介した生体制御の研究、光計測技術を用いた1分子・1細胞レベルでの生命現象解析、神経生理学的手法を活用した知覚・情動・記憶のメカニズム解明、神経前駆体細胞から神経細胞が誕生する仕組みの研究など、多様な生命現象を分子レベルで解明することを目指しています。
カリキュラムとしては、3年生では午前中の講義と午後の学生実習を通じて、分子生物学・生化学・分子遺伝学・神経科学の基礎技術と考え方を習得します。4年生では研究室に所属し、各自の興味に沿った研究テーマに取り組みます。理学部生物化学科の特徴は、生命現象の「基本作動原理」の解明に重点を置いている点にあり、応用的な生命科学ではなく、生命の根本原理への深い理解を目指します。好奇心や探究心が旺盛で、化学や物理が得意な学生が生物への興味を持ち、分子レベルで生命現象を探求したいという強い意欲を持っていることを歓迎します。