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研究内容


1. ミトコンドリアDNAゲノムの構造変化を指標とした後生動物の系統解析

 後生動物のミトコンドリアDNA (mtDNA) は約16kbpの環状分子で、そのゲノム上には36種類の遺伝子がコ−ドされている。後生動物におけるmtDNAゲノムの遺伝子構成はよく保存されているが、ゲノム上に各遺伝子が配置されているパタ−ン(各遺伝子が配列する順序や方向性)は動物門によって異なっている。後生動物のmtDNAにはイントロンやスペサ−が無いため、ゲノムの再配置は極めて起こりにくく、同一の遺伝子配置が独立に生じることはほとんどないと考えられる。したがってmtDNAの遺伝子配置の変化は、後生動物の系統関係を解析する有効なマ−カ−になり得る。また後生動物のmtDNAでは、遺伝暗号やRNAの編集機構が動物門によって異なることも知られているが、このような変化もまた系統解析の重要な指標になると考えられる。我々の研究室では、mtDNAのゲノムの構造や遺伝暗号などの変化を指標として、後生動物の系統解析を行っている。また遺伝子配置に著しい多様性が見られる軟体動物を用いて、ゲノムの構造変化を生じる分子遺伝学的機構を明らかにすることを試みている。



2. 軟体動物の進化生物学的研究

2-1. 陸産貝類の種分化に関する研究

 陸産貝類は移動能力が乏しいため、地理的隔離に伴う種分化が起こりやすい。とくに島のような隔離された環境では、爆発的な種分化や適応放散を起こしている例が多く知られており、進化生物学の好材料となっている。我々の研究室では、陸産貝類を主な研究材料として、種分化の過程や機構を研究している。とくに小集団内で著しい種分化が見られる分類群を対象として、分子系統学的手法を用いた集団遺伝学的な解析を中心に研究を行っている。また我々は、琵琶湖産のカワニナ類において核型がほとんど個体ごとに異なるという驚くべき現象を見いだしており、これを用いて種分化と染色体の構造変化との関連を細胞遺伝学的な観点から研究している。


2-2. 軟体動物の系統分類学的研究

 軟体動物は節足動物に次ぐ大きな分類群であり、後生動物の中で最も多様に分化した分類群の1つである。しかし軟体動物の分類体系に関しては異なる仮説が多数提唱されており、意見の一致をみるには至っていない。また各上位分類群の系統関係についても未解決な問題が多く残されている状況である。我々の研究室では、比較形態学的手法と分子系統解析を併用することにより、軟体動物の系統関係を再検討している。また全く研究の進んでいない分類群については記載レベルの研究も行い、分類体系の構築を試みている。