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2019年6月、本専攻の吉田大和 准教授がCYTOLOGIA奨励賞を受賞しました。

 CYTOLOGIA奨励賞は、国際学術誌CYTOLOGIA誌を刊行する公益財団法人・日本メンデル協会より細胞遺伝学分野ならびに細胞生物学分野の将来を担う研究者へ贈られます。

 吉田准教授は、これまでの研究から「葉緑体(色素体)」と「ミトコンドリア」の増殖を制御する“分裂リング”(葉緑体分裂装置とミトコンドリア分裂装置)の構造と機能を続々と明らかにしてきました。真核細胞生物にとって極めて重要なオルガネラである葉緑体とミトコンドリアは、約15億年前に宿主細胞に共生した自由生活性バクテリアを起源としています。こうした進化的起源を持つため、葉緑体とミトコンドリアは独自のゲノムDNAを持ち、分裂することによってのみ数を増やすことができます。しかしながら現在においても葉緑体とミトコンドリアの分裂・増殖機構は十分には分かっておらず、細胞生物学における重大な課題となっています。吉田准教授は、一つの細胞内に葉緑体とミトコンドリアがそれぞれ一つずつしかない単細胞藻類シアニディオシゾンを用いて、葉緑体とミトコンドリアの分裂装置の構造と構成タンパク質を解明することに成功しました。本研究は、葉緑体とミトコンドリアが誕生する過程の解明にも繋がる大きな成果として高く評価されています。吉田准教授は、現在は同研究をさらに発展させ、分裂リングによるミトコンドリアや葉緑体の分裂増殖機構をタンパク質一分子レベルから明らかにすることを目指すとともに、真核細胞を構成する様々なオルガネラが分裂増殖する過程で起きる全ての分子機序“オルガネラ分裂増殖のセントラル・ドグマ”の解明を目指しています。