東京大学グローバルCOE 生体シグナルを基盤とする統合生命学
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報告書

分生研 分子情報研究分野 山角 祐介

私は幸運にもgCOE国際交流プログラムに参加することができ、9/8から9/16までサンフランシスコに滞在してアメリカの文化、研究に触れる機会を得ることができました。

サンフランシスコは坂の多い街で歩くのが大変でしたが、逆にその起伏が独特の素晴らしい景色を作り出していました。気温は日本よりも10度ぐらい低かったので慣れるまでは大変でしたが、天気は概ね晴れていて全体的に過ごしやすかったと思います。食事も予想以上においしく、実際に暮らすには快適な街かもしれません。

サンフランシスコに到着した次の日にタホ湖に移動し、Retreatに参加しました。RetreatはUCSFのfacultyによる研究成果の発表が中心の、日本でいう勉強合宿のようなものです。十数人のfacultyの発表を聞きましたが、研究の成果自体は日本と大差なく、日本も負けていないと感じました。ただアメリカ人の方が新しい技術を導入しようという意欲が旺盛で、まだ成果は出ていなくても将来的に面白い研究に発展しそうなテーマが複数あり、独創的な研究がアメリカに多い理由を垣間見ることができた気がします。ポスター発表は大学院生やポスドクが中心の発表で、みんな互いのポスターの前で活発に議論し合っていました。研究分野が異なるだけでなく国民性も大きく異なる人との議論は新鮮で、自分の考え方の幅を広げるのに役立ちました。夜には大変手の込んだレセプション&パーティーが行われました。レセプションでは寸劇や自作映画などが催されたのですが、英語が早すぎて聞き取れずほとんど笑えないという辛い思いをし、海外で生活するための英語の必要性を痛感しました。

Retreatが終わりサンフランシスコに戻った後は自分でアポイントをとったUCSFのラボを訪問しました。UCSFにはいくつかキャンパスがあり、私はMt. ZionのCancer centerとMission bay areaのいくつかの施設を訪問しました。アメリカのラボをいくつか訪問して特に印象に残ったのは実験室が研究室ごとに区切られていないところで、このおかげでスペースを有効に利用できるだけでなく、研究室間の交流も活発になっていると感じました。またアメリカのラボの人はみな親切で、アポイントをとらずにいきなり尋ねても快く自分の研究の話をしてくれました。さらに多様な人種の人々がサイエンスという言葉で繋がって仕事をしている環境がとても刺激的で、自分の知っていた研究の世界の狭さを知ると同時にアメリカでの研究生活に強く魅かれました。

研究室訪問とは別に私はたまたまノーベル賞一家のTom Kornberg教授と二人で話す機会に恵まれました。彼は自分が何を研究したいか見つけることが研究者として大切なことだと自分の研究の話を含めて丁寧に語ってくれました。口調は落ち着いていましたが、言葉の端々に強い熱意が秘められており、その熱意に深い感銘を受けたのを今でも覚えています。

今回のUCSF訪問は、海外の研究室訪問や英語でのプレゼンなど、初体験の事ばかりでとても濃密で刺激的な8日間だったと思います。このような素晴らしい機会の提供に尽力してくださった多羽田先生ならびにUCSFのfacultyの方々に深く感謝すると共に、この経験を今後の研究生活の糧として独創的な研究に励んでいこうと思います。