東京大学グローバルCOE 生体シグナルを基盤とする統合生命学
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UCSF Tetrad報告書

理学系研究科生物科学専攻 分子生理学研究室 平木まどか

グローバルCOEの国際交流事業の一環として、9月にUCSFのTetradリトリートに参加しました。サンフランシスコから車で3時間、Lake Tahoeという美しい湖のそばで開催されたこのリトリートは、UCSFのTetrad Courseに新しく入学する大学院生の歓迎会を兼ねた研究合宿です。2泊3日で、各研究室のPI30人ほどがそれぞれの研究テーマを紹介しました。2日目にはポスターセッションが設けられており、UCSFの学生やポスドクに混ざって、私たちも発表しました。卒業後の進路を考えている身として、様々な研究室の研究テーマについて聞くのは非常に興味深く、また現地の学生たちの熱意にも驚かされました。研究を始めて間もない学生でも、いかに自分の研究が面白いかということを生き生きと話す姿は、大変印象的でした。しかし何といってもTetrad Retreatの一番の目玉は、初日の夜に開催されたSkitsとよばれる恒例の出し物でしょう。これは、2年目の学生たちによるビデオ上映と劇で、2時間にもおよぶ大作でした。内容は、主にPIたちのパロディーで、何人かのPIはゲスト出演もしていました。英語で、かつ内輪のジョークであるためわからないところも多くありましたが、それでも十分に楽しめるプロ並みのレベルの高さには驚きました。また、Skitsだけでなく、毎晩深夜まで開かれたパーティーにも多くのPIが参加しており、学生とPIの距離が非常に近いことを実感しました。

Retreat終了後はサンフランシスコに戻り、UCSFのMission Bayキャンパスを訪問しました。午前中は公開のセミナーの場を設けていただき、十数人の前で30分ほど研究発表をしました。英語で口頭発表するのは初めての経験だったので、緊張もあって質問にうまく答えられない場面も多くありましが、皆、興味を持って聞いて下さり、普段は聞くことのできないたくさんの貴重なアドバイスをいただきました。午後は、セミナーを企画して下さった、私と同じく中心子の研究を行っているWallace Marshall博士の研究室を訪問し、メンバー一人ずつと話をしました。特に同年代の学生との話は、研究だけでなく将来のこと、プライベートのことと話は尽きず、楽しい時間を過ごすことができました。また、最後の3日間は飛行機でミネソタに移動し、研究室間で交流のあった、ミネソタ大学のPete Lefebvre博士と栗山了子博士を訪ねました。UCSFの建物が、ガラス張りの近代的なものであるのに対し、ミネソタ大学の建物は歴史を感じる重厚な作りで、違った趣を感じることができました。ここでも両博士のはからいで、4つの研究室の合同ミーティングとして、10人ほどの前でセミナーをさせていただきました。2回目なので、前よりはリラックスして受け答えができ、ここでも興味を持って話を聞いていただけました。

私はこれまで海外の研究室を訪問したことは一度もなく、また、海外で研究発表をした経験も学会以外ではありませんでした。今回の滞在は、英語でコミュニケーションする訓練になっただけでなく、現地の研究者の生活を間近で見ることができたので、今後の進路を考える上で得がたい経験となりました。また、現地のポスドクや学生の熱意あふれる研究姿勢には大いに刺激を受けました。このような機会をいただけたことに大変感謝しています。