東京大学グローバルCOE 生体シグナルを基盤とする統合生命学
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UCSFリトリート報告書

医学系研究科 細胞分子生理学教室 博士課程4年 吉田 郁恵

 私は、2008年9月21日から23日にわたって開かれたUCSF Neuroscience programのリトリートに参加し、その後の4日間で4つの研究室を訪問した。これまでアメリカでの学会発表の経験はあったものの、UCSFの先生方やポスドク・学生の人達とうまく交流できるだろうかという不安と緊張がかなり強かった。しかし、9日間の全日程を終えてみると、どの日もとても充実していて、私にとって非常に影響力のある旅になった。

[日程]
9月20日  成田からサンフランシスコに向けて出発。
   
9月21日  ホテルからリトリート会場であるAsilomarに向けて、Dr. Paul J. Muchouskiの車で移動。日本のこと、サンフランシスコのこと、大学のこと、研究のこと、普段の生活のこと、将来のことなどについて話をした。途中、Santa Cruzを案内してくださった。Asilomarに到着した後は、リトリートに参加し、先生方(Dr. Peter Sargent, Dr. Allison Doupe, Dr. Philip Sabes, Dr. Steve Lisberger)の発表と学生とポスドクによるポスター発表を聞いた。お酒を片手に研究の話をするポスター発表が印象的だった
   
9月22日  午前中に先生方の発表(Dr. Stanley Prusiner, Dr. Paul Muchowski, Dr. Lennart Mucke Dr. Allan Basbaum, Dr. Eric Huang, Dr. Louis Reichardt)、夜にポスター発表を行った。昼食時には、研究室を訪問させていただく予定だったDr. Linda Wilbrechtと話をすることができ、私の研究と将来のことについてたくさんのアドバイスをもらった。彼女は今年から独立した若い研究者で、話ができてとても刺激的だった。自分のポスター発表では、現在私が用いている研究手法に詳しい研究者と議論することができ、参考になった。ポスター発表後のstudent skitがとてもおもしろかった。
   
9月23日  午前中の先生方の発表(Dr. Ben Cheyette, Dr. Mark Diamond, Dr. Erik Ullian, Dr. John Rubenstein, Dr. David Sretavan)の後、Dr. Paul Muchouskiの車で、サンフランシスコに戻った。このときも、豪邸めぐりやサンフランシスコの面白いところをいくつか案内してもらった。夜は、リトリートでも一緒だった理研の見学先生とともに、Dr. Louis Reichardtのお宅で夕食をごちそうになった。Dr. Lennart MuckeとDr. Cyntia Kenyonとも話ができた。
   
9月24日  Dr. Christoph Schreinerの研究室を訪問。先生は、聴覚野の研究を精力的に進められており、嗅皮質の研究をしている私にたくさんのアドバイスをしてくださった。UCSFのことについて教えてくださり、ポスドクとしてやるべきことについてもたくさんのアドバイスをしてくださった。研究室のポスドクや学生とも話すことができ、聴覚系の研究の話を聞かせてもらうだけでなく、私の嗅皮質の研究についてもたくさん議論することができて、本当によかった。
   
9月25日  Dr. Antonello Bonciの研究室を訪問。研究室は、Ernest Gallo Clinic and Research Centerにあり、UCSFの多くのキャンパスから離れていた。先生は薬物依存に関係する神経回路について、行動レベルから神経細胞上の受容体レベルまで注目して研究されており、「食べる」という行動に注目した私の研究にも興味を示してくださった。Gallo Centerのこと、研究室のことも案内してくださった。
   
9月26日  今回私のホストをしてくださったDr. Loren Frankの研究室を訪問。先生は、ラットの空間学習中に起こる、海馬の神経回路の変化に注目して研究されており、覚醒下の動物を用いた神経活動記録法のことや行動実験のことをたくさん教えてくださった。実際の記録に用いた電極も見せてもらえて、大変参考になった。また、私にinformal seminarをする機会を作ってくださり、研究室が所属するKeck Centerからもたくさんの人が聞きに来てくださった。研究に対するアドバイスや応援の言葉をもらえて、とてもうれしかった。夕方には、Ph.Dコースの学生によるセミナーに参加させてもらった。
   
9月27日  Dr. Liquin Luo lab.に留学しているDr. Kazunari Miyamitiを訪問。スタンフォード大学の中を案内してもらい、研究室で最近の研究の話を聞かせてもらった。嗅覚研究について議論ができておもしろかった。また、留学についてもいろいろ教えてもらえてとても参考になった。
   
9月28日 サンフランシスコから成田に向けて出発。

UCSFに訪問して、見たこと、感じたこと、経験したことを、私がこれから研究を続けていく上で活かしていきたいと感じている。また、今回一緒にリトリートに参加した3人で毎日感じたことを話し合えたことも、UCSF訪問を楽しむことができた大きな要因だと思っている。

最後に、私にこのような経験とたくさんの人達と出会う機会をくださった多羽田先生をはじめとするGCOEプログラムの関係者の皆様と、UCSFでお世話になった皆様に、深く感謝いたします。