東京大学グローバルCOE 生体シグナルを基盤とする統合生命学
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UCSF 報告書

分子細胞生物学研究所 宮島研究室 山内俊平

 この度グローバルCOE国際交流プログラムより助成をいただき、UCSF/UCBのjoint immunology retreat programに参加 させていただきました。Immunology retreat programは毎年、サンフランシスコから車で2-3時間ほど南に下ったMontreyにあるAsilomarにて行われます。会場は海岸の隣にあるリゾート地で、非常に美しい場所でした。

 リトリートでは2泊3日の短い期間ではありましたが、獲得免疫から自然免疫の話、細胞内のシグナルから個体を使った解析、テクノロジーの開発まで、非常に広くかつ新しい情報を手に入れる事ができました。口頭発表はポスドクの人が多かったのですが、みな発表が上手でスライドもわかりやすくまとまっていて、非常に参考になりました。一日目の夜に開かれたポスターセッションでは、みなビールを片手に学生同士がポスターの前で議論する、非常にアメリカらしい経験をさせていただきました。自分のポスター発表ではあまりうまく英語でやり取りする事ができなかった反省点はあるものの、今後の参考になる助言を得る事ができました。ホストになっていただいたLewis Lanier教授には、移動の車の中での会話を含めて非常に多くの時間を割いて話をしていただきました。ポスターに対する助言だけに留まらず、Lewis教授の現在の研究のターニングポイントとなったCD16分子発見の話、ポスドク先を探すときにどういう点に気をつければよいかなど、学術的な事からアメリカでの研究生活の事など、大変多くの情報を教えていただき非常に有意義でした。

 今回はさらにUCLAにて学部時代の同期の友人 の所属する研究室を訪れ、アメリカの大学院生の一日の過ごし方を見せてもらいました。特に印象的だったのは、彼が学生同士でディスカッションする機会を積極的に設けていたり、また下の学年の世話をする役割担当があったりと、実験以外の素養を磨く機会を多く持っていた点です。UCLAでは毎年数人の教授を前に自分の一年の研究計画を発表し厳しい審査をされる機会があるらしいのですが、その準備のために友達同士が事前に何度も議論し、互いに助言し合います。たまたまその準備をする場に参加させてもらったのですが、学生同士が高い意識を持って議論を重ねお互いに発表の技術を磨いているのを見て、アメリカ人がなぜ発表が上手なのか合点がいき、自分も見習うべきだと強く意識させられました。

 今回のリトリート訪問は自分の研究者人生にとって非常に有益な経験であり、また今後留学する際に参考となる情報を多く得る事ができました。最後では有りますが、このような貴重な機会を与えてくださった多羽田先生をはじめとするグローバルCOE関係者の皆様に深く感謝いたします。