東京大学グローバルCOE 生体シグナルを基盤とする統合生命学
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UCSF Developmental Biology retreat 参加報告書

分子細胞生物学研究所 形態形成研究分野 清水一道

この度、グローバルCOE国際交流プログラムの助成により、UCSF Developmental Biology Retreatへの参加、および他大学への訪問の機会を頂きましたので、ここに報告させて頂きます。

今回のDevelopmental Biology Retreat はサンフラシスコから車で2時間程のMarconi Conference Centerで行われました。同Centerはトマレス湾に面した自然豊かな場所に位置し、所属研究室が一同に介して集中的に議論を行うリトリートの目的に非常に適した環境にあります。

オーラルセッションでは鞭毛虫を用いた多細胞生物の起源に関する研究からマウスの大脳皮質のパターニングまで、幅広い分野における最先端の研究成果を拝聴することができ、自らの研究の視野を広げるきっかけとなりました。また、UCSFの学生によるオーラル発表を聞き、そのプレゼンテーション能力の高さに触れ、研究内容をいかに魅せるかということの重要性を再認識しました。初日の夜にはポスターセッションが設けられており、UCSFの学生、ポスドク、PIの方々と飲み物片手に深夜まで密なディスカッションを行う貴重な機会が得られました。

リトリート後は、UCSFのReichardt研、Kornberg研、スタンフォード大学のLuo研を訪問し、PIの方やポスドクの方々とのディスカッションの機会を設けて頂きました。なかでも私の研究分野の第一人者であるLuo教授には非常に的確な指摘を多く頂き、短い時間ではありましたが有意義な時間となりました。その後東海岸へと移動し、Harvard大学のMeister研、Wilson研、およびNIHのStopfer研を訪問しました。これらの研究室は、現在の私の研究テーマとはかなり遠い分野の研究室であるため、訪問に大きな不安を持っていましたが、どの研究室でも非常に暖かく迎えて頂きました。特に、NIHのStopfer博士は、訪問当日が祝日であったにも関わらず1:1のディスカッションおよび研究室の案内に計3時間も割いていただき、非常に多くの収穫を得ることが出来ました。

今回のアメリカ訪問では印象的だったことが二つあります。一つは研究室間の垣根の低さです。どの大学、研究所でも研究室間の交流が盛んで、特にUCSFやNIHでは研究室の実験スペース自体が隣の研究室と繋がっており、他研究室との交流が自然に生まれるような構造になっていました。もう一つは研究に対するスタンスの違いです。とかく長時間研究室にいることの多くなりがちな日本の研究室では研究が生活の一部になってしまいがちですが、アメリカの研究室では研究室にいる時間はそれほど長くなく効率的に仕事を進め、研究以外の自分の時間を重要視しているように思いました。どちらが良いと一概に言うことは出来ないかもしれませんが、学ぶべきものは多いと感じました。

最後になりましたが、今回のリトリート参加にご尽力くださった多羽田先生をはじめとするグローバルCOE関係者の皆様、および訪問を快く受け入れて下さった研究室の皆様に深く感謝いたします。