東京大学グローバルCOE 生体シグナルを基盤とする統合生命学
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UCSF Developmental Biology retreat 参加報告書

分子細胞生物学研究所 情報伝達研究分野 小野口真広

 今回グローバルCOEの国際交流プログラムの一環として、UCSF Developmental Biology retreatおよび研究室訪問の機会を頂いたことに感謝申し上げます。内容をここにご報告いたします。

 Developmental Biologyリトリートは、サンフランシスコからゴールデンゲートブリッジを渡り、牧場が広がる山道を車で北へ1時間半ほど移動したところにあるMarconi Conference Centerにて行われました。日程は2/7,8の2日間で、Dr. Kornbergの車でホテルから会場へ移動しました。途中で立ち寄って頂いたツインピークスはサンフランシスコを一望できる名所の1つで、美しい町並みとゴールデンゲートブリッジや港などの景色を楽しむことができました。リトリート初日は昼から夕食をはさんで夜まで、UCSFの各研究室のPIや学生と招待講演者による口頭発表があり、その後ポスターセッションが行われました。参加人数は約50名程で、濃密な雰囲気のなか活発な討論が行われました。発表は研究室のプロジェクトの俯瞰から最近のホットトピックスまで、発生をキーワードに幅広く行われ、数多くの興味深い話を聞くことができました。ポスターセッションでは、お酒を片手にリラックスした雰囲気の中でも熱心な討論が行われ、とても充実した時間を過ごすことができました。2日目は午前中にトークがあり、昼には解散となりました。帰りには近くのオイスターバーに連れて行って頂き、リトリートの雰囲気を満喫することができました。

 リトリート後は、各大学の研究室を訪問させて頂きました。UCSFでは、Dr. Thomas Kornberg、ホストを引き受けてくださったDr. Samuel Pleasure、そしてDr. Barbara Panningの研究室を、Stanford大学ではDr. Howard Chang、UCSDではDr. James Kadonagaの研究室を訪問しました。今回面会させていただいたのは私が興味をもっている分野の最先端で活躍されている先生方で、とても緊張しましたが、自分の仕事に対してどのようなコメントが返ってくるのか楽しみでもありました。幸い私の発表はどの研究室でも興味を持っていただくことができ、深い討論と貴重なアドバイスをいただくことができたのは、とても大きな収穫でした。特に研究の視点を共有できたことや、研究の大きな意義や展望について討論できたことは、私にとってとても貴重な体験となり、自信につながりました。一方で今の自分に必要な部分などを見つけることができ、新たな目標となりました。また、いくつかの研究室では、最近の新しいデータを見せていただくなど、大変刺激的な経験となりました。UCSFでは数名の日本人ポスドクの方とお話をする機会にも恵まれました。留学の実践的な情報や今後のキャリアプランなど、大変参考になる話を聞くことができました。

 今回訪問したUCSFのMission Bay Campusは現在も建設中である建物が多い新しいキャンパスです。印象的であったのは、フロアや機器の共有が標準的になっており、faculty同士の部屋も隣接している構造が多かったことです。研究室の雰囲気もオープンで、学生やポスドクとPIが討論する姿を頻繁に見かけました。キャンパス内には試薬メーカーの出張所やカフェテリアなどの各種福利厚生施設がそろっており、研究をバックアップする体制がよく整備されているなと感じました。また、留学生が多いことや、人材の流動性の高さが活発な研究環境をつくっていることを実感しました。企業による出資や共同研究も盛んに行われているようで、これらの要素が総合的に活気のある研究に結び付いているのではないかと考えました。

 今回のグローバルCOEプログラムへの参加は、私にとって様々な面で非常に勉強になることが多く、研究者を目指す上でとても大きな、特別な経験となったことを確信しています。最後になりましたが、このような素晴らしい機会の提供に尽力してくださった多羽田教授、Dr. Kornberg、そして研究室訪問を快く受け入れてくださったfacultyの方々、UCSFでお世話になったポスドクの方々と、送り出してくださった指導教官である後藤教授に心より深く感謝いたします。