東京大学グローバルCOE 生体シグナルを基盤とする統合生命学
ホーム > 国際交流 > gCOE NIH行き 報告書 永野 佳子

gCOE NIH行き 報告書

東京大学大学院 医学系研究科 分子病理学講座 博士課程4年 永野 佳子

 広い、そして建物が大きい。NIHを訪れた最初の印象である。今年度から始まったグローバルCOEのNIH行きに参加させていただいた。紅葉の美しい季節、ベセスダの豊かな自然に囲まれた広大なNIHキャンパスで5日間を過ごした。

 期間中は、Research Festival への参加や研究室訪問に加え、プログラム担当の分生研・宮島篤先生および、NIHで独立されている向山洋介先生のお取り計らいで、NIHに関する様々なお話を伺うことができた。NIHでの初日は向山先生に構内を案内していただき、おかげで5日間広い構内で道に迷わずに済んだ。OITE (Office of Intramural Training & Education: NIH内での研修などをはじめ、ポスドクの相談にも乗って下さる所)のスタッフとのミーティングでは、visaの話に始まりNIHがポスドクにとってどれだけよくサポートされた良い環境であるかを知ることができた。「学振NIH枠」に関するお話も伺った。OITEの方々は皆Ph.D.を持っており、私たち参加者をとてもよく理解して下さった。NIHでポスドクをした後にどうするかも今から考えておくように、との言葉は印象的でありまた自分自身の将来を考えるよいきっかけとなった。NIH見学ツアーでは、治験の行われている病棟の見学の他、アメリカ政府機関としてのNIHの位置付けについても説明していただいた。

Research FestivalはNIH内部で毎年開催されている研究発表会である。2日間のメインイベントでは、自分の研究分野に近いものも含め様々な講演を聞き、ポスター発表を見て議論することができた。Research Festivalに付随して行われるjob fairでは、米国内の様々な企業がNIHでポスドクをしている人を対象とした人材募集のためブースを出していた。

 研究室訪問の日は、NIHの中にあるNCI (National Cancer Institute)の研究室を訪れた。現在博士課程最終学年の私は、この研究室のポスドクにアプライ中であった。訪問中には、ラボの先生とプロジェクトについて話し、研究室周辺を見学した他、朝から夕方までラボのメンバー一人一人とミーティングをし、各人の研究について詳細を聞き、議論することができた。論文を読んだだけでは分からない、まさに現在進行中のプロジェクトを知ることができ、非常に有意義な時間となった。また、ラボミーティングに参加し、私自身の研究発表も行った。ここでも色々と意見を交換し、参考となるコメントを戴くことができた。ラボの方たちは皆とてもよく接して下さり、充実した時間を過ごすことができた。

 今回の旅程では時間的にも比較的余裕があったため、NIHの中やベセスダの街を歩いて回る時間が十分に取れた。更にメトロでいくつか離れた駅まで行き、どんな場所か確かめることもできた。「もしこの辺りに住むとしたら」という想定をして近い将来の生活を想像してみることもできた。

 今回のNIH訪問を経て、来年の9月からNCIのラボに行くことになった。D4の秋、NIH見学の絶好の機会をいただけたことにとても感謝している。様々な意味で収穫の多い旅であった。ご尽力下さった先生方に御礼申し上げたい。そして、来年度もこのプログラムが参加者に実りある時間をもたらすよう願っている。