東京大学グローバルCOE 生体シグナルを基盤とする統合生命学
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UCSF Cell Biology Retreat

分子細胞生物学研究所 機能形成研究分野 宮岡 佑一郎

 UCSF Cell Biology Retreatに参加する機会をいただきましたので報告いたします。会場となったWilbur HotspringsはSan Franciscoからベイブリッジを渡り車で3時間ほど内陸に走ったところにありました。普通の道から何の看板も標識もない砂利道に突然入り、15分ほど進んでたどり着きます。日本で言う秘湯のようなところです。会場も小さい宿舎の食堂のいすを並べ、車で運んできたスクリーンに映しての発表でした。形式張ったところは一切なく、ビールを飲みながら発表を聞いている人もいました。参加人数も30人程度と少なく、とても濃密な時間を過ごすことができました。

 それでも研究に関する議論はもちろん真剣かつ活発になされ、鋭い指摘に感心することも多くありました。このリトリートには口頭発表しかなく、しかも全体で10人しか発表がなかったのですが、光栄にももう1人一緒に参加した加村君とともに私にも発表の機会を与えていただきました。英語での発表は今回が初めてだったのですが、練習の甲斐あってか思ったよりも落ち着いて発表できたように思います。貴重な質問や意見をいただいたので、今後の研究に生かしていきたいと思います。

 会場にはHotspringsという名前からもわかるように温泉が湧いており、1日目の発表が終わった後にはみなで入りました。このリトリートには日本でいうところの修士1年生が参加するというのが恒例のようで、彼らは温泉の隣にあるプールに飛び込んだり、夜中まで楽器を演奏したりと元気で楽しそうでした。アメリカの学生の活気を感じました。寒かったので私はゆっくりと温泉につかっているにとどまりましたが。

 リトリートとは別にUCSFのPIの方々と話をし、研究室を見学する機会も与えていただきました。まず、研究の独創性と質の高さに感動しました。私もこのレベルを目指したいと思います。自分の研究について話しているPIの方々は熱心でもあり楽しそうでもありました。きっと自らの研究を心から楽しみ、誇りを持っているのではないかと思います(私はそうではない、というわけではもちろんありませんが)。また、こちらの研究室は多くのものを共有していることに日本との違いを感じました。研究スペースや機器、試薬などの共有はもちろんのこと、PIのオフィスも隣り合っていますし、食事や休憩をするスペースも共通でした。そのためか研究室の枠を超えての人々の交流が自然にあり、みなが互いに知り合いのようです。こうした開かれた環境から、分野を超えた議論がなされ新しい発見につながっていくのかもしれません。私も多くの人達と関わって視野を広げていきたいと感じました。

 今回のリトリート参加は私にとって大変貴重な経験になり、やはり一度は留学して研究をしてみたいという気持ちがますます強くなりました。最後に、このリトリート参加にあたり多くの方々の助けをいただきました。この場を借りてお礼を申し上げます。