東京大学グローバルCOE 生体シグナルを基盤とする統合生命学
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retreat:Cell Biology

理学系研究科 生物科学専攻 動物発生学研究室 加村啓一郎

今回、私はGCOEのプログラムの一環としてUCSFのCell Biology のリトリートに参加させて頂きましたので、以下にその報告をします。

1日目:サンフランシスコに着いた当日はホテルにて論文を読んだり、プレゼン資料を作成したりと今後の準備に時間を費やしました。UCSFで用意して頂いたホテルでしたが、各部屋に無線LANも完備し非常に快適に過ごすことができました。

2日目:ホストラボとなるJeremy Reiter博士のラボを訪問しました。博士自ら車でホテルに迎えに来てくださり、Mission bay campusに向かいました。午前中はラボ内セミナーに参加させて頂きました。ベーグルやアボガドなどを朝食代わりに食べながらのフランクな雰囲気でしたが、意見交換は非常に活発でセミナー室の壁一面に広がるホワイトボードを充分に活用した議論は印象的でした。午後はラボのポスドクや学生数人と1人30分ずつ程度交替で話をさせて頂き、最後にReiter博士とも長時間に渡って話を聞かせて頂きました。午前のセミナーではなかなか聞き取れなかった英語も1対1で話すとだいぶ理解でき、非常に充実したdiscussionとなりました。

3日目:Mark von Zastrow博士の車に同乗させて頂き、リトリート会場へと向かいました。Cell Biologyの会場はサンフランシスコ郊外のWilbur Hot Springsという温泉施設で車で3時間程のところにあります。今回のリトリートは他のリトリートと比較して非常に小規模かつゆったりしたもので、参加者は40名程度、2日間で10名の口頭発表のみという内容でした。私も20分の口頭発表の時間をもらっており、初の英語での発表ということで緊張していたのですが、発表会場を見たとたん緊張がほぐれました。今回の会場にはもともと講義室のような施設はなく、ダイニングに作った特設会場で聴衆はソファーに座りビールを飲みながら常にリラックスした状態で発表がおこなわれました。発表中もスライド1枚1枚に質問を受けたり、逆に私から質問を投げかけたりと会話のやりとりが続き、発表に30分、質疑応答に15分程度も費やしましたが、非常に楽しい時間を過ごすことができ、あっという間の出来事でした。初めての英語での発表をあのようなフレンドリーかつアクティブな環境でおこなえたことは大変幸せでした。午後の部は私も含めて4名が発表して終わり、青空の下で歓談しながら夕食をとった後、さらに3名の発表があってその日のプログラムは終了しました。その後は自由時間となり、和の雰囲気を醸し出す川沿いの露天の温泉につかりながら深夜まで歓談を楽しみました。

4日目:朝食をゆっくりとった後に3名の発表、昼食ですべてのプログラムが終了しました。リトリート中は常にリラックスした雰囲気の中で、PIやポスドク、同年代の学生と多くの会話を楽しめたことは非常に貴重な経験となりました。リトリートの早い時間に口頭発表の機会を頂けたことにより、私が何者で、どのような研究をしているのかということを参加者全員に周知できたことが、その後2日間のコミュニケーションを円滑に進めることができた大きな要因だと考えています。

5日目:午前はホストラボとDidier Stainier博士のラボ合同で口頭発表をする機会を頂きました。2回目ということと、既にホストラボのメンバーと顔見知りになっていることから特に緊張することもなく、こちらも無事終えることができました。昼を食べながらStainier博士と話をさせて頂き、午後はStainier博士のラボのメンバーと2日目同様有意義なdiscussionの時間をもたせてもらいました。夜にはStainier博士のラボの日本人ポスドクの方と他のラボの日本人ポスドクの方に夕飯に誘って頂き、海外での生活の話など大変参考になる話をたくさん聞かせて頂きました。

6日目、7日目は現地で知り合った学生のラボを訪問したり、市内観光をしたりして過ごした後、次の目的地ボストンへと向かいました。ボストンではハーバード大学やMITのラボを訪問し、こちらでも多くの人に出会い大変充実した時間を過ごすことができました。

私は今まで海外のラボを訪問したことも、海外の学会に参加したこともありませんでしたが、今回のように各所で大変暖かく迎え入れて頂いたことは大変稀有なことであり、非常に幸運なことだと思っています。GCOEの多くのサポートがあったからこそこのような貴重な体験ができたことは間違いありません。多羽田先生ならびに東大・UCSFの関係者各位にこの場を借りて深く御礼申し上げます。

*この場では私が経験したこと、感じたことのほんの一部しか書くことができませんでした。今後UCSFのリトリートへの参加を考えている方、既に参加が決まっている方はぜひ連絡を頂ければと思います。ここには書ききれなかった有用な情報をお話できると思います。