東京大学グローバルCOE 生体シグナルを基盤とする統合生命学
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報告書

医学系研究科 分子細胞生物学専攻 細胞情報学分野 橋立 智美

 2008年10月、私はグローバルCOEの国際交流プログラムでNIH Research Festivalへ参加する機会を頂きました。NIH(National Institutes of Health)はワシントンDCから車で約30分のメーリーランド州ベセスダを本拠地としており、NCI(National Cancer Institute)をはじめ20の研究所と7つのセンターが存在し、1万8千人以上のスタッフ(うち科学者が6千人、日本人は400人前後)を抱える世界最大級の研究所です。

 NIH Research Festivalは内部研究者向けの発表会で、本来外部の人間が入れない所を特別に参加させて頂きました。最初の2日間でシンポジウムとポスター発表が交互に(各3セッション)行われ、3、4日目はポスドクの方に対する就職相談会&企業の商品紹介が行われていました。各シンポジウムは4-7セクション分かれており、各会場とも発表者の熱意が伝わってきて質疑応答も活発に行われていました。また若い研究者の方たちが積極的に質問されていたのが印象的でした。各シンポジウムの内容も多岐にわたっており、とても内部の会合とは思えない程で改めてNIHの規模の大きさを実感しました。ポスター発表は会場だけでなく廊下などでも行われており、ポスター前で足を止めているとすぐに説明しましょうかと声を掛けて頂きました。若手の方が中心となり発表されていたようで、英語が苦手で内容もよく理解していない私に対してもとても丁寧に話して下さいました。年に一度行われるグローバルCOEの全体リトリートと同じ雰囲気を感じました。

 3、4日目はNIHの研究室を数カ所見学させて頂きました。基本的なレイアウトは研究室ごとで異なる事はなく私たちの研究室とも変わらない印象を受けましたが、多少雰囲気でそれぞれの研究室の特徴が出ている感じがしました。これは研究所と大学の違いかと思いますが、建物に共通器機の部屋がありそれぞれの機械には担当の技官の方がいて、サンプルを用意して持っていくと解析等をしてもらえるシステムになっていて驚きました。見学させて頂いた研究室の中でもNCIのGrewal先生 (Laboratory of Biochemistry and Molecular Biology)はとても紳士的な先生で、分野が異なる私の研究の説明にも熱心に耳を傾けて頂き、さらにご自身の研究も丁寧に説明して下さりとても感激しました。またNICHDの尾里先生には、私の研究に関する様々なアドバイスを頂きとても勉強になりました。さらに日本人のポスドクの方たちとお話させて頂く機械もあり、留学とはどういうものなのが具体的に実感する事が出来ました。

 これまで学会等の渡航経験が無く、今回初めて海外の研究室を訪問し自分の研究を話す機会を得ましたが、自分の発表だけならなんとか大丈夫かと思ったのですが質問された際の対応が全くできませんでした。また相手の研究室の方々の研究内容を説明して頂いた時もほとんど内容が理解できなかったため質問する事も出来ず、後であれを聞けば良かったという事が多くとても残念でした。しかし、こうした経験は今後、自身の語学力向上に向けた大きなモチベーションになると確信しています。また全く分野の違う方と自分の研究について議論する機会を得て様々なアドバイスを頂く事が出来たため、自分の研究に対するやる気をますますあげて帰ってくる事が出来ました。

 最後にこのような素晴らしい機会を得るためにご尽力下さいました、分子生物学研究所の宮島篤先生ならびにNIHの向山洋介先生、研究室訪問にあたり大変お世話になりましたNIHの宝来玲子先生、山根謙一先生をはじめ諸先生に心より感謝申し上げます。