東京大学グローバルCOE 生体シグナルを基盤とする統合生命学
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Global COE program, retreat: NIH訪問記

分子細胞生物学研究所 分子情報研究分野 博士2年 古川 史織

 この度、私はGlobal COE retreat プログラムによる国際交流の一環としてNIH (National Institute of Health) へ訪問をする機会を得ました。幸運にもこのような貴重な体験をさせてもらいましたので、少しでも雰囲気が伝わるよう今回のリトリートの報告をしたいと思います。

 今リトリートのミッションとしては、10月14~17日に開かれるNIH Research Festival というNIH内だけの研究発表の場に参加し、その後個人的に興味のある研究室への訪問、研究発表ならびに交流を行うというものでした。NIH は全米の各地に施設を展開していますが、今回はheadquarterであるMaryland州のBethesda Campusへ訪れました。Research Festivalのおおまかな内容としては14,15日にポスター発表並びにシンポジウムが行われ、続く16,17日にPostdocsのためのCareer Fairや学会の時のような企業によるブースの設置などがありました。

 私達が現地に到着したのは13日の午前中でした。12時間のフライトを乗り切り、13時間の時差に耐えながら空港からNIHへと向かいました。13日は日本のみならず、アメリカも休日であり、あまり人のいない広大なキャンパスを今プログラムのオーガナイザーである宮島先生の研究室にかつて所属されており、現在NIHにてご活躍中の向山氏に案内して頂きました。NIHの警備は厳重で、入るためにはパスポートの提示と荷物検査を受け、visitor passをもらってようやく進入が許可されます。毎日最初にこの作業があるので若干面倒でしたが、係の方は日本人だと分かると日本語で挨拶してくれ、フレンドリーな雰囲気で毎朝気分よくNIHへ通えました。敷地内でも親切な人が多いと感じました。Bethesda自体とても治安の良い地域だという事です。

 14日はいよいよFestivalへの参加ですが、午前中は特別にNIHのOffice ofIntramural Training & Education (ポスドクの支援をしてくれる事務)の方々から、NIHの仕組み、お金の取り方、どんなサポートがあるのか、NIHでポスドクをするにあたって考えるべき事など細かい説明をして頂きました。午後にはポスター会場へ行き、多様な発表の中から興味のあるポスター発表者と話をし、色々な研究分野、人種の方とお互いの研究の話をすることができ貴重な体験となりました。2日目も同じような形でFestivalに参加し、ポスター、シンポジウムを聞き有意義な時間を過ごしました。私はNIHでポスドクを、といったような具体的なヴィジョンを持って行った訳ではなかったので16,17日のCareer Fairは参加せず研究室訪問に当てました。訪れた研究室はNCI(National Cancer Institute)のTumor Growth Factor Section のDavid Salomon博士の研究室を中心にMolecular and Cellular Endocrinology Section, Barbara Vonderhaar博士、Lab. of Metabolism, Endocrinology SectionのShioko Kimura博士、 NIDCR(National Institute of Dental and Craniofacial Research)のCell Biology SectionのKenneth Yamada博士、NIMH(National Institute of Mental Health)のKazutoshi Nakazawa博士を訪問しました。各研究室で自分の研究紹介と、訪問先のポスドクの方々の研究紹介をして頂き、さらに研究室の設備等の見学をさせてもらい、NIHでの研究室の雰囲気を味わってきました。財政は厳しくなりつつあると聞きましたが、まだ余裕がある感じで施設は充実していましたし、普通の大学等よりはゆったりと研究が行われているイメージでした。また日本と比べて女性研究者が非常に多く(ある研究室では半数以上が女性)、女性が働きやすい環境であると皆口を揃えて言っていました。

 海外の研究室に対しては壁を感じがちですが、いざ行ってみると研究面においてはさほどの差を感じる事はなかったです。今回NIHへ訪問できた事で、将来海外で研究する事に対して具体的性が増しましたし、現実的に考得るべき事などはっきりしました。 最後に、今回の企画にご尽力くださった皆様に心から感謝します。