東京大学グローバルCOE 生体シグナルを基盤とする統合生命学
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CBB/ Biophysics Retreat(Monterey)

理学系研究科 生物化学専攻 横山研究室 三桝 信哉

 この度は2009年度のUCSFリトリートプログラム(Monterey)に参加させて頂き,大変貴重な経験をさせて頂きました。その所感を簡単にご報告させて頂きます。

 本プログラムではカリフォルニアの素晴らしい気候の中で,リゾート地を満喫しつつも科学に対する活発な討論と創造的な発表が行われ,大変感銘を受けました。特に気づいた点として,西海岸ならではの技術に対する情熱と,他分野を受け入れ,その良さを反映させるシステムが素晴らしいと思いました。一つ一つのラボや研究科が独立しているのではなく,生化学,生物物理,生物情報科の三つのプログラムの卒業生がラボに所属し,それぞれの良さを最大限に活かすオープンな雰囲気はとても研究のやり甲斐がある環境に感じられました。元々,ホストラボとしてお邪魔させて頂いたGeeta Narlikar教授だけでなく,リトリートを通して知りあった教授やポスドク,学生が皆大変親切で,アポイントメントのないラボ訪問を気軽に受け入れて下さったり,晩御飯を御馳走して下さったり,観光地を案内して頂いたりと,リトリート中もリトリート後も感謝尽くしの毎日でした。また,リトリート中にはMonterey浜辺に行き,多少’カリフォルニケーション’される機会にも恵まれました。

 私は構造生物学者であるため,Yifan Cheng教授と学生の方々に研究室の電子顕微鏡や講演会,貴重な複合体構造などを見せて頂き,大変刺激を受けました。Yifan Cheng教授は京都大学の藤吉研究室に在籍されたことがあるそうで,日本とアメリカの違いを客観的に教えて下さるなど,大変興味深い話を聞かせて頂き,誠に感謝いたします。未発表の Nature, Cell, Scienceへの投稿論文をこれでもかというくらい見せて頂き,考え方や姿勢も含めて今後の研究に大いに役立つと感じました。

 その後,スタンフォードへ寄った後,UCLAのMichaelGrunstien教授のご自宅とラボを訪問させていただきました。特にGrunstein教授のトークと,サイエンスだけでなく人生に対する考え方には脱帽しました。気さくで面白い人柄でありながら本質的なところへの照準が的確な人間性は,果てしなく遠い目標ではありますが,勉強して少しでも近づきたい科学者像であります。UCLAでは,UCLAに在籍されている生化出身者の方々にもお会いすることができ,LA観光と留学情報などで大変お世話になりました。

 アメリカ西海岸の全般的な印象は,自由の国であるアメリカを象徴するように,主張さえ明確に通せば,大概気さくで陽気な方々があれもこれもと助けて下さる大変面白い国でした。今回を通して,アメリカならではの相対評価とソーシャルであることが,如何に大切かについて実感を持って学ぶことができました。最後になりますが,このような企画を立てて下さいました分子生物学研究所の多羽田哲也先生を始めとするgCOEの先生方,および旅費や日程などで便宜を図って下さった朝倉智子様には大変お世話になりました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。